第二十七話 幸村と茶その十
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「かつての槍の又左ではない」
「叔父上がいつも殿のお傍にはおられぬ」
「領地を収め兵を動かす」
「軍勢を動かしてですな」
「殿をお守りする様になったからな」
「殿の身の回りはといいますと」
「出来なくなった、しかしお主は違う」
その慶次を見ての言葉だ。
「今も槍一つで戦えるか」
「左様です」
「ならばじゃな」
「はい、槍働きをしましょうぞ」
「殿をお守りしてじゃな」
「その時が来れば」
「ではお主はそうせよ」
前田もそれでよしとした。
「他には才蔵もおったな」
「可児殿ですな」
「あ奴も変わった者と思っておったが」
政には関わろうとせず戦働きにだけ興味があり大名にまでなろうという望みは一切ない男だからである。
「しかしな」
「可児殿もまた」
「殿のお傍を守り出来るならな」
「よいですな」
「そうした者も必要じゃ、既にそうした者達はおるが」
毛利と服部の話もした。
「しかしお主達がおれば尚よい」
「さすれば」
「いざという時は殿を頼むぞ」
「お任せあれ」
「お主の武芸は天下一品じゃ」
慶次の槍を褒めての言葉だ、他には剣術もよい。
「まさに一騎当千じゃ」
「それならばですな」
「うむ、その御主が殿のお傍におれば」
それだけでというのだ。
「全く違う」
「さすれば」
「お主は殿をお守りせよ」
「いざという時は」
「その様にな、あとじゃ」
そしてと言うのだった。
「あと数年経てばまた戦じゃ」
「今の政が落ち着けば」
「うむ、西に向かう」
「伊予、九州ですな」
「伊予は長い間そのままであった」
これといって手を出さずにだ、信長もそうしていたのだ。
「殿にしてもな」
「ですな。四国は三国を治めていますが」
「讃岐、阿波、土佐とな」
「しかしあの国は」
「これまで何もなかった」
「ですな、しかし」
「今度はな」
この度戦になればというのだ。
「あの国もじゃ」
「手中に収め」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「九州もじゃ」
「あちらもですな」
「手中に収める」
「薩摩までも」
「うむ、あちらもな」
「九州といえば」
慶次もあの地のことは知っていた。
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