第6章:束の間の期間
第193話「足踏みする者達」
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
来たのは驚きなんだけどな……」
「地球の日本には、“火事場の馬鹿力”と言う言葉がありますから。緊急時に振り絞られる力と言うのは、凄まじいものですよ」
そう言いながら、緋雪は霊術を行使して霧散した瘴気を集める。
「そういえば、魔法とは違う……なんて言ったか?」
「霊術の事ですか?」
「そう、それだ」
話がキリの良い所で途切れたため、ティーダは目の前の事について話す。
「優輝君に御守りを渡されていたんだが、もしかしてそれも……」
「あー、多分、そうですね」
今はもう手元にない御守りに使われていた技術が霊術だとティーダは知る。
「まだ表面上の事しか聞かされていないから分からないんだが……魔力とどう違うんだ?」
「そうですね……言い分けるとすれば、魔力は血液で、霊力は生命力そのものですね。魔力はリンカーコアがないとダメですが、霊力は生命であれば誰でも持っています」
「誰でも……俺も、か?」
「はい」
ティーダも持っていると、緋雪は断言する。
実際、誰もが生きるために霊力は持っている。
「それに、“死”を身近に感じれば感じる程、霊力の保有量は増えていきますから、ティーダさんも現世にいる普通の退魔師ぐらいにはなれますよ」
「実感がないな……それに、“死”を身近に、って……」
「瀕死の重傷を負って、そこから回復したり、臨死体験をしたり……が普通ですね。実際に死んでも増えるみたいです。私やティーダさんもその例ですね」
何てことのないように説明する緋雪だが、ティーダからすればその説明は軽く流せるようなものではなかった。
……第一に、実際に死んだのだから、反応に困る。
「他には、その人に集束している因果などでも、保有量が決まるみたいです。とこよさんがいい例ですね。あの人は大門を閉じる役目と、守護者、閂と言った役目も背負いましたから、霊力の質も量も跳ね上がったみたいです」
「因果……運命みたいなものか」
ティーダは概念や形のない力に詳しくないため、漠然とだけ理解する。
「概念的な要素以外では、やはり遺伝ですね」
「なるほどな……」
魔力と明確な違いもあれば、似た部分もある。
そう、ティーダは理解する。
「他に特徴的なのは……霊力は生命力を使いますから、魔力よりも質が高いという事ですね。普通の防御魔法だと、一定以上の霊術相手では紙のように破られてしまいます」
「俺が死ぬ時、バリアジャケットが役に立たなかったのも、それか……?」
「あー、大門の守護者だと、ほとんど関係ないかもしれませんが、多分……」
そもそも並とはかけ離れた実力なため、相性は関係ないかもしれない。
ただ、実力差を縮めた場
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ