第6章:束の間の期間
第193話「足踏みする者達」
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力は、その時に発現したものなんです」
「ま、待ってくれ……吸血鬼?生物兵器?……どういう事なんだ?」
説明を求めるティーダ。
さすがに起承転結の結の部分しか言われなかったら聞き返さずにはいられない。
「えっと、少し長くなるんですけど―――」
そこで、緋雪は過去の事を話し始める。
もう気にしていないのもあってか、前々世や転生の事も話した。
「……魂に刻まれた事で、今世にも影響……か」
「今では、とこよさんや紫陽さんのおかげで、何とかなっていますけどね」
話し終わり、ティーダが呆然とした様子で感想を漏らす。
「今でこそ、魂の欠陥をとこよさんと紫陽さんに補修してもらって軽い吸血衝動にまでに治っていますが……血を吸わなければ自壊し、吸い続ければ自我を失う。……私は、そんな生物兵器だったんです」
「………」
困ったような笑みを浮かべてそう語った緋雪に、ティーダは掛ける言葉がなかった。
「……君は……君は、そんな人生を……だから優輝君は……」
―――「どうしてなのかは……まぁ、僕の力不足とだけ言っておきましょう」
「っ………」
憂うような表情でそう言っていた優輝を、ティーダはふと思い出した。
「詳しく語る事はなかったが……そうか……」
「……言いふらすような事でもありませんからね」
そもそも、故人となった妹の事は他人に話す事ではない。
「……せめて人として、死ぬ……か」
「お兄ちゃんには、大きな責任を背負わせてしまいました。その後悔はあります。でも、そうしなければ、私もお兄ちゃんももっと後悔していましたから」
「……強いな。君達兄妹は」
話を聞いて、ティーダは優輝が緋雪を殺したくなかったのは分かっていた。
その上で、殺すと決断したのだと、理解していた。
そして、自分が同じ立場になった時、妹を、ティアナを手に掛けられるか決断を強いられた時を考えて……思わず、そう呟いた。
「弱かったから、強くなる事を強いられたんです。……私がもっと強かったら、生物兵器としての狂気に呑まれる事は、なかったでしょうから」
力なく、緋雪は笑う。
なお、そんなしんみりした空気の中、瘴気を破壊する行為は続いていた。
そんなシュールな状況が、ティーダを暗い雰囲気に落とさずに済んでいた。
「それに、ティーダさんも凄いと思いますよ」
「俺が?」
「とこよさん……大門の守護者相手に、死ぬのを前提としたとはいえ、致命傷に繋がる一撃を与えたんですから」
本来であれば、決して成しえない事。
それをやってのけた事を、緋雪は素直に称賛した。
「正直、俺にもあそこまで出
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