第6章:束の間の期間
第193話「足踏みする者達」
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かし、今はそんな強さだけではどうしようもない事態が起きている。
その事が悔しくて、何か出来ないのか悩んでいたのだ。
「(……どうしよう、かな)」
既に、とこよに言われた皆の避難は終わっている。
他の式姫達が手伝ってくれたため、あっさりと終わったのだ。
「(現世との境界をどうにかする術を私は持ち合わせていない。だから、手伝える事なんてたかが知れている。……でも、何かしたい)」
何も出来ないままでいられない。
そんな我儘にも似た想いで、何か出来ないかと悩んでいた。
「……どうしたんだ?」
「……ティーダさん?」
そこへ、ティーダが話しかけてくる。
大門を閉じた後に流れ着いた者で、緋雪が初めて見つけた事もあって、彼と緋雪は他の流れ着いた者よりも交流が多かった。
ティーダにとっても、緋雪は優輝の妹だという事もあって、接しやすかった。
ちなみに、流れ着いた管理局員に、緋雪の知り合いはいなかった。
その事に関して、緋雪は知り合いがいなかった事に寂しく思いつつも、知り合いが死んだ訳ではない事に安堵していた。
「……私に出来る事が、あまりなくて……」
「……流れ着いて、促されるままになっている俺達よりはマシだと思うが……」
「あー、えっと、そうなんですけどね……」
それとこれとは別ではあるが、そんな回答をされて、緋雪は気まずくなる。
「大方、二度起きた揺れに対する事だろう。俺も管理局員として働いてきて、初めての経験だ。次元震でもないし、対処法も思いつかん。そもそも正体が分からないしな」
「……はい。何とかしようにも、私は基本的に破壊しか出来ないので……」
「君ほどの強さがあるなら、十分だと思うんだけどな……」
ティーダにとって、緋雪の強さは羨むぐらいだった。
その事に僅かながらの嫉妬を覚えつつも、真摯に緋雪の悩みを聞く。
「とこよさんも、紫陽さんもどうにかしようと頑張ってるのに、私は言われた事を手伝うぐらいしか出来ませんし……」
「何も出来ない俺達よりはマシだって」
「う……」
緋雪は皮肉を言われた気分になって言葉を詰まらせた。
なお、ティーダにそのつもりはない。
「まぁ、“自分も何かしたい”と思うのは悪い事じゃない。気持ちも分からない訳でもないしな。……と言うより、俺も同じだからな」
「ティーダさんも……?」
自分も同じだと言われて、緋雪はどういう事なのかと聞き返す。
「君はここに慣れたから大丈夫だろうけどな、俺達は死んだと思ったら知らない場所に流れ着いたんだ。その事に不安もあるし、何もしないままでいいのかとも思っている」
「それは……まぁ」
知らない場所に流れ着き、そこに
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