第6章:束の間の期間
第193話「足踏みする者達」
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
広い。表裏一体の世界の均衡を保ったまま、境界を薄くするなんて……どちらでも不可能なはず)」
そもそも、世界の境界に干渉しておきながら、それ以外には影響を出さない事自体が、今回の現象の異常さを際立たせている。
それに関しては、とこよ達だけじゃなく、優輝達やジェイルも気づいていた。
そんな異常さだからこそ、とこよは無視する事が出来なかった。
「……ッ―――!ぁ……もしかし、て……」
その時、ふと、一つの考えがとこよの脳裏を過った。
それは、あまりにも規模が大きい事。
幽世と現世だけじゃなく、全世界をも巻き込むような、突拍子もない考えだった。
「……空間どころか、“世界そのもの”に干渉、した……?」
すなわち、干渉したのは時間や空間どころではなく、世界そのものだと。
物理的な揺れでも、空間的な揺れでもなく、世界そのものが揺れたのだと。
……確証はないものの、とこよはそう考えた。……考えてしまった。
「―――ッ―――!?」
もし、そうなら。
そうだとするのなら。
……思考は、深みへと陥る。より、最悪な方向へと。
「(根拠なんてない。でも、もし、本当にそうだとするなら……!)」
浮かぶその考えを、とこよは頭を振って必死に振り払う。
まだそうだと決まった訳じゃないと、ただの憶測でしかないと、自分に言い聞かせて。
「(でも、辻褄が合う。むしろ、それ以外に思いつかないだけだけど……)」
世界そのものに干渉しているのであれば、本来の法則から外れてもおかしくはない。
むしろ、法則を外す事含めて干渉と言えるだろう。
実際、とこよからすれば、幽世と現世の均衡を崩さずに境界を薄くする方法など、世界そのものへ干渉する以外に方法がない。
「(……正直、信じられないし、信じたくない。……でも、もしそうだとするのなら、私達だけじゃ手に負えないかもしれない)」
根拠がないため、信じたくない気持ちが強いとこよ。
だが、辻褄は合うため、“もしかすると”と考えて警戒する事にする。
そして、その推測が当たっていた場合、自分達では対処しきれない考えた。
「(……推測の段階で、現世の人達に知らせる?……ううん、それだと無用な混乱も招いてしまう。いや、むしろ伝えていない方が右往左往して対処できるものも対処できないかもしれない。……どうすれば……)」
あれでもない、これでもないと、とこよは思考を巡らせる。
曖昧な情報を伝えるべきかと、彼女は悩み続けた。
「………」
一方で、緋雪も悩んでいた。
何かが起きている。だというのに、自分に出来る事がほとんどないからだ。
強くなって、自身の体とも向かい合えるようになった。し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ