第6章:束の間の期間
第193話「足踏みする者達」
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門が開きそうな事態だと言うのに」
とこよは大門に掛かり切りとなり、紫陽が幽世全体をなるべく把握する。
その中で、現世との均衡も調べたが、一切異常が見られなかった。
……尤も、それ自体が何よりも異常なのだが。
「……ただの揺れじゃない。……でも、ただ空間に干渉したのなら、これぐらいでは済まないはず……だとしたら……」
とこよが瘴気を抑える術式を行使しながら思考を巡らす。
「……時間?いや、さすがに……」
ふと、時間に干渉したのではないのかと、とこよは考える。
すぐに違うだろうと思って否定しようとするが、一度浮かんだその考えは、なかなか頭から離れる事はなかった。
「『……緋雪ちゃん。魔法で時間に干渉する事って、出来る?』」
『魔法で……ですか?』
伝心を使って、とこよは緋雪に尋ねる。
『……私の知る限り、魔法では無理です。ただ、別の方法なら出来ると思います』
「『そうなの?』」
『はい。……実際、私も巻き添えとはいえ未来から過去へ行きましたから』
それは、緋雪の生前の時。
優輝達は一年前の時間にタイムスリップしていた。
そのことから、時間干渉をする方法はあると、緋雪は言った。
「『時間干渉が可能……もしかして、さっきの揺れって……』」
『とこよさん?もしかして……』
とこよの伝心から伝わる呟きに、緋雪は不安になる。
「『ううん、例え時間干渉でも、境界が薄れた影響は出るはず。そもそも、境界は空間干渉でないと意味がない。じゃあ、あの揺れって……?』」
『とこよさん!』
「『っ、ご、ごめん。考え事が漏れてた……』」
緋雪の一喝により、とこよは一旦思考を中断する。
「『瘴気と妖を抑えるのは任せて。避難先は式姫の皆が集まってる場所でお願い』」
『わかりました!』
式姫がいれば、瘴気も妖も大丈夫だろうと、とこよは考える。
現世と違い、幽世にいる式姫達は皆全盛期の力ままで、数も段違いだ。
流れ着いた者たち程度の数なら、普通に守り通せるだろう。
また、管理局員もいるため、流れ着いた者たちもまったくの無力ではない。
「(……揺れが原因で境界がさらに薄れたのは事実。でも、境界が薄くなっていたのは揺れが起きる前から……。大門を無理矢理開いた……ロストロギアだっけ?それが原因だと思うけど……)」
瘴気を抑える術式を行使しながら、とこよは思考を続ける。
「(……ううん、この際、そっちはいい。今重要なのは、揺れの影響で何が起きたか、揺れが一体何なのか、と言う事)」
何かが引っかかるような感覚で、とこよは揺れに関して考察する。
「(例え、時間でも空間でも、干渉したらその影響はもっと
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