第六章
[8]前話
「お互いの村で交流されれば」
「いいのか」
「一緒にお酒を飲んだり」
その様にしてというのだ。
「遊んだりして」
「親睦を深めればいいか」
「そうです、そうされれば」
それでとだ、尾崎は長老にさらに話した。
「次第にですが」
「仲がよくなっていくか」
「あちらも悪い人達ではないです」
このことは村に入ってみて彼等を観て話してだ、尾崎もわかっている。そしてこの村の者達のこともである。
「ですから」
「それでか」
「交流を深められて下さい」
「最初から邪険にせずにか」
「そうです、それはよくありません」
決してとだ、尾崎は強い声で長老に話した。彼の横にいる吉川は今は沈黙を守って静かに座っている。
「ですから」
「交流も深めてか」
「お付き合いしていって下さい」
「ではな」
人魚の長老も頷いた、こうしてだった。
二つの村それに地域は交流を深めていくことになった、そして尾崎は今度は星の者として近江の千路に話して外来の生物や植物を許可なく養殖したり植えたりすることを禁止させた、放流も同じである。
そして移民と従来の住人達との交流を地方政府としても推進してもらった、やがてブラジルからの移民の村は琵琶湖の中の快い市民達の一角を占める様になった。
尾崎はことが終わるとまた安土城の天守閣に吉川と共に戻って平和が戻った琵琶湖を見ていた、そこにだ。
彼の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「これは」
「燕の子安貝か」
「はい、持っていますと」
尾崎はそれを手にして吉川に答えた。
「魔力がこれまでとは比べものにならない位です」
「強くなっているか」
「これは凄いです」
こう言うのだった。
「まことに」
「そうか、新しい神具の力はそういったものか」
「左様です、そして」
尾崎は吉川にさらに話した。
「琵琶湖の騒ぎがです」
「神託だったからだな」
「その神託を乗り越えたので」
それでというのだ。
「力も強くなっています」
「君自身のそれもだな」
「そうなりました」
吉川に笑顔で話した。
「おいらも」
「ではその力も使ってな」
「この世界を掬いましょう」
「我々全員でな」
「必ず」
尾崎は自身の隣にいる吉川と顔を見合わせて頷き合った、そうしてまた琵琶湖の水面を観た。そこには青く静かな水面に映し出されている安土城の見事な天守閣があり二人に幻想的な風景を見せていた。
琵琶湖の人魚 完
2019・1・27
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