第四章
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「これがな」
「それで、ですか」
「そうじゃ、困っておる」
「揉めるつもりはないのですね」
「わし等もそんなつもりはない」
毛頭とだ、鯰頭の長老は尾崎に言い切った。
「絶対にな」
「左様ですか」
「そうじゃ、どうにかならぬか」
「それは村の考えでしょうか」
「おおよそそうじゃ、折角いい国に来たというのに」
「それで揉めてはですね」
「どうにもならんわ」
こう言ってだ、そのうえでだった。
二人はここで二つの村を行き来して村人達の意見も聞いた、すると実際に二つの村人達は出来れば平和に共存したかった。
このことを確かめてだ、尾崎は丘に上がってだった。
安土の城下町にあるハイカラな珈琲屋でコーヒーを飲みつつ吉川に話した。
「道が見えてきたかと」
「そうなのか」
「こうしたことはよくある話ですね」
「そうだな、移民の問題だな」
「水産でも」
彼が政府の中で携わっているこの政でもというのだ。
「よくあるので」
「そういえばな」
「はい、それにです」
尾崎は共にコーヒーを飲む吉川にさらに話した。
「環境問題ですね」
「外来魚だな、要するに」
「養殖しているうちはいいですが」
それでもというのだ。
「その魚が逃げますと」
「厄介なことになるな」
「まあ放流するよりリスクは少ないですが」
「放流か」
「ブラックバスやブルーギルですね」
具体的な例としてだ、尾崎はこうした魚達を挙げた。
「こうした魚みたいになるので」
「余計に厄介だな」
「はい、ですが」
「今回もだな」
「どう考えてもアマゾンの魚は琵琶湖にてはよくありません」
「生態系が乱れるな」
「そうなりますので」
だからだというのだ。
「ここはです」
「折り合いをつけるか」
「別に村の風俗習慣はです」
こちらはというと。
「相互交流で理解を深める」
「だからいいですね」
「これは問題がありません、ですが」
「魚や植物はな」
「移民側に止めてもらって」
そしてというのだ。
「琵琶湖の魚の味に慣れてもらいましょう」
「そうしてもらうか」
「移民はいいですが環境は保護しなければ」
こちらは守らなければというのだ。
「幾ら養殖でもです」
「それがいいな」
「はい、では」
「それではだな」
「これよりです」
「ことを進めるか」
「そうしましょう」
尾崎は吉川に応えてだった。
吉川と共にブラジルからの移民の村に行ってだ、そして鯰頭の長老に話した。
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