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許されない罪、救われる心
48部分:第五話 エスカレートその四
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第五話 エスカレートその四

「ちょっとね」
「私も行くわ」
「僕も」
「それじゃあだけれど」
 二人の名乗り出を受けてだ。岩清水はこう言うのだった。
「それぞれで探そう」
「それぞれで?」
「探すんだ」
「うん、そうしよう」
 何気なくを装ってこう返す。こうして三人でそれぞれ分かれて探しに出た。
 そしてだ。岩清水はすぐにゴミ捨て場に向かった。そこの小屋の鍵をこっそりと開けてだ。声色を使って言った。
「誰かな、鍵なんか閉めたの。開けたけれど」
 わざと神無に聞こえるようにして言って姿を消した。向かった先は体育館裏だった。神無が如月達に連れ込まれたその場所だ。
 そこに向かってだ。周りを見回す。するとだった。
 見れば茂みの中や木の上にだ。隠しカメラが置かれていた。彼はその幾つもの隠しカメラを見て一人ほくそ笑むのだった。
「いじめってこういう場所で行われるからね」
 こう言って笑う。
「いやあ、仕掛けておいてよかったよ。いい映像が撮れたかな」
 神無は小屋から出て泣きながら何処かに行く。その日彼女はジャージだった。弥生はその彼女を心配して声をかけた。
「何かあったの?」
「ううん、別に」
 怯えた顔で弥生に返す。
「何も」
「何もないの」
「うん、だから」
 そしてだ。こう言うのだった。
「気にしないで」
「だったらいいけれど」
「とにかくね」
 葉月も神無を気遣って声をかけてきた。
「ジャージだと目立つけれど。仕方ないか」
「そうね。制服どうしたの?」
「洗おうかと思ってるけれど」
「あっ、それだったらさ」
 ここでだ。葉月は気を利かして言った。
「いい場所があるよ」
「いい場所って?」
「用務員さんが洗濯機と乾燥機持ってるから借りたらいいよ」
 こう話すのだった。
「そこを使えば学校の授業が終わるまでには確実に洗い終わって乾いてるから」
「ああ、そうよね」
 弥生も葉月のその言葉に頷いた。
「汚れ酷いの?」
「ちょっと」
 力ない顔で答える。
「それは」
「けれど大丈夫だから」
 葉月は暗い顔の神無にまた話した。
「あの洗濯機新しいのだから。本当にどんな汚れでも落ちるから」
「そうなの」
「だから安心して」
 また話す葉月だった。
「用務員さんに言って使わせてもらったらいいよ」
「それじゃあ」
 こうしてだった。神無はその洗濯機と乾燥機を使わせてもらった。それで今は何とかことが収まった。少なくとも外見はである。
 如月達はそんな彼女を見てまた嘲笑っていた。顔は歪んだ笑みの仮面になっており目は蔑みに満ちていた。そんな顔でだ。
「見た?ジャージでね」
「いい気味」
「そうよね」
 こう話してだ。今度はだ。
 また如月が言うのだった。
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