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吸血鬼になったエミヤ
003話 シホの過去
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く気が狂わなかったと褒めてやりたいくらいのものだったとはエヴァの談である。
そして結局記憶を見ても全員黒ずくめの姿をしていた為、正体は分からずじまい。
だが、この麻帆良の地に送られる前の光景で、もうシホの視界がおぼろげだった様でまた誰かは分からなかったが、女性らしき白いフードの人物が叫びを上げながら黒尽くめの集団を一人、また一人とエヴァの知識でも該当がない魔法を駆使して消し炭にしていく様をみてどうやら組織は壊滅したと全員は判断した。
最後に女性が組織を全滅させて、その組織の幹部を殺した際に浴びた血ぬれの手に棒状のような光るなにかをシホにかざして、光が視界を埋め尽くした次の瞬間、視界を映したのは昨夜の麻帆良の空だった。

「「「「………」」」」

病室にいる全員は愕然とした表情で無言。
唯一音を奏でているのはシホの寝息だけ。
その寝息すら今は悲しみの音に聞こえてきてしまうのは錯覚ではないだろう。

「姉、さん…くっ!」
「…もう疑いようがないの。シホ殿を救ってここに送った誰かがいる。じゃがその人物は一緒に現れなかった…」
「なにかしら理由があった、ということか…確かに女狐の言うとおりだったな。記憶内でも精神操作系はどんなにやっても失敗に終わっていたしな」
「えっへん! やつら如きの腕でわたくしを捻じ伏せられると思うのが大きな間違いなのです! 逆にせめてもの抵抗で呪い返ししたから苦しむ姿はいい気味でした♪」
「うむ、よくぞやった。誉めてやるぞ」
「褒め称えなさい〜!」
「調子に乗るなよー? メギツネ〜!?」

タマモとエヴァがなにやら小コントを始めていたが学園長と高畑は真剣な表情になり、

「さて…これで全員を説き伏せられる材料がそろったの。まぁ他の者もタマモ君の激白で疑いの眼差しは一切向けてなかったようじゃからな」
「そうですね。僕たち『赤き翼』の元メンバーだった事も功を奏しています。もし反論するものがいれば…ふふふ」
「タカミチ君…。いつも以上に燃えとるの? もしかしてシホ殿の事がs…“シュンッ”…ナンデモナイヨ?」

学園長の頬にものすごくキレのいい居合い拳が掠った為、言おうとした言葉をすんでで飲み込んだ。
とにかくそんな不思議なやり取りの中、対照的にシホは未だ眠りの中だった。




◆◇―――――――――◇◆




翌日、もう目覚めてもいいのに未だ目を覚まさないシホをよそに学園長を中心に魔法協会施設の一室で会議が開かれていた。
当然議題はシホ・E・シュバインオーグ及び玉藻アヤメの処遇をどうするか、である。

「さて。皆に集まってもらったのは他でもない。シホ・E・シュバインオーグ殿と玉藻アヤメ殿をこれからどういった立場に置くということじゃが…」
「お待ちください学園長。彼女
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