逆さ磔の悪魔
カリキュレイト・ラース
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
舞わせると先に飛び立ったのと同じようなミイラの竜が空から降りてきて、龍驤はその背中に飛び乗る。
「あぁ、二度と会わないのを願うよ。」
ロングの言葉を聞いたあと、龍驤を載せた竜が羽ばたく。
龍驤の姿を見送ったあと、淡々とロングが命じる。
「対空戦闘用意。」
「あー、やっぱ撃ってきたかぁ。撃たなきゃもう少し長く生きられただろうになぁ。」
彼女を乗せた翼竜がレイクエリーからある程度遠くまで飛んだところで、龍驤は白いヒトガタを風に舞わせたあとに、巻物を広げる。
「ほな、命令通りにやるとしよか。恨むんならウチの化け狐の尻尾を踏んだ自分を恨みや?」
そう言って、龍驤が伸ばした右手。
そこに虚空から飛び出してきた縦に長く太い大巻物が収まる。
「さぁて、二十年ほど設計図や資料を集めに集めて再現させ続けた名機、珍機、失敗作から革命機!グラマンからメッサーシュミット、ヴィッカーズに中島までなぁんでもあるで?どの翼を仰ぎ見たいんや!?」
投げ打つように広げた巻物に描かれているのは様々な航空機の横から見た姿とその名前。
その巻物は龍驤の周りを二巡りしてもなお広がり終わらず、龍驤の指に合わせてくるくると舞う。
「己の我慢の無さを耳に聞き、懺悔する時間くらいはやるよって。」
白いヒトガタが化けた大きな爆撃機が爆発四散したところで、龍驤は巻物のある一行を指でなぞる。
「懐かしのジェリコのラッパや。とくと聴き!」
「やったか?」
「いいや、まだだ。再度捕捉次第、データリンク。完了次第、M3次弾発射。」
「敵影捕捉!M3セル8から10までスタンバイ!」
「データリンク完了まで40Sec!」
『なんだ……?上から変な音がするぞ?レーダーは何か、捉えてないのか?』
『待て……やられた!アンノウン直上に感!高度2000、急降下中!』
唐突だった。
直上になってようやく敵機捕捉など、本来ならば有り得ない事態。
如何に低空から侵入し、レーダーの目を掻い潜ろうとも、海面からホップアップしたならば観測員が見つけ出すはずだ。
それが、直上に突然現れた。
『ダメだ!敵機は既にダイブしている!間に合わない!』
「相手はレシプロだ!間に合わせろ!ファランクス、撃ち方始め!」
『敵弾、来る!』
ガァアアアーンッ!
そう、何かが突き破ったような音が艦内に響いた。
一瞬の沈黙。
そして、もはや人の耳では捉えきれない音の奔流。
爆発、爆風、破断、破砕、火流、浸水、傾斜。
各所からの報告があったかもしれない。
ただ、それすらも巻き込み、飲み込み、どうやって外に脱出出来ようものか。
何かがぶち破ったらしい隔壁の隙間から何とか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ