第31話 救出作戦
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、金剛は安心するようにと優しい笑顔を向ける。そして、檻の隅に行くように指示を出した。
「一体、何を?」
「ふん!」
困惑するハンコックの疑問には答えず動いた金剛は、普通の人間の力では到底へし折れないような、なかなかに太さのある檻の棒をグニャッと押し広げた。そこからなら、大人でも通り抜けられる広さに檻の隙間が広がった。
「さぁ、早く逃げるヨ!」
「で、でも」
ハンコックは、見知らぬ金剛達が怪しい人間ではなく助けに来てくれたんだと理解して泣きそうになった。だがしかし、ハンコックは立ち上がって金剛と一緒になって逃げ出そうとはしなかった。
「? どうしたの?」
「ソニアとマリーが……」
ハンコックの身体にしがみついていたサンダーソニアとマリーゴールドの二人には意識が無く、動けないでいた。誘拐されてからずっと粗末に扱われ、ここ数日の移送中には逃げ出さないようにと満足に食事も食べられないでいたから。
かろうじて意識のあるのはハンコックだけ。だが自力で立ち上がり、ここから逃げようとする力がなかった。
「なんて酷い……」
少女たちの状況に絶句する金剛。そして、なんとしてでも助け出してあげなければイケナイと思った。
「ナガトォ! 彼女たちは自分で動けないヨ。運んであげないと!」
「了解した」
気付かれないうちに逃げ出すためにと辺りの警戒を続けていた長門は、金剛からの呼び声で状況を把握した。
「二人は私が運ぶ。意識のある、その子は金剛」
「了解ネー」
「あっ、えっ……」
突然の出来事に理解が追いつかない幼いハンコック。
手際よく分担を決めてから、長門はサンダーソニアとマリーゴールドの二人を両脇に担ぎ、金剛はアワアワしているハンコックを背負うと、檻の置かれていた場所から皆で静かに立ち去る。
こうして無事に戦闘も無く、少女たちの救出作戦を成功させた長門と金剛。商品として捕らえられていたハンコック達が逃げ出した事を奴隷商人が知るのは、彼女たちがシャボンディ諸島から逃げおおせた後になってからだった。
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