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許されない罪、救われる心
45部分:第五話 エスカレートその一
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第五話 エスカレートその一

                  第五話  エスカレート
 神無は学校に来た。そして部室に入るとだ。
「おはよう」
「元気?」
 如月達がもう部室にいる先輩達に見えるようにわざとらしく彼女に挨拶をしてきた。そうしてそのうえで彼女を取り囲む。
「今日も頑張ろうね」
「楽しくやろうね」
「う、うん」
 神無はだ。自分を取り囲んだ彼女達に顔を青くさせながら応えた。昨日のことは忘れられる筈のないものだ。当然如月達もわかってやっている。
「それじゃあ」
「そうそう、仲良くやろうよ」
「私達友達だしね」
「ねえ」
「あら、仲いいのね」
 何も知らない先輩の一人がそんな彼女達を見て言った。
「同じクラスだからね」
「はい、そうなんです」
「クラスメイトですから」
「当然じゃないですか」
 四人は作り笑いを浮かべて先輩にこう返す。
「ですから」
「それでなんです」
「仲がいいことはいいことだしね」
 やはり先輩は何も知らないまま言った。
「椎葉さんってまだ転校して日が浅いし。色々と教えてあげてね」
「わかってますよ」
「ですからね」
「仲良くしますから」
 青くなり小さくなっている神無のその肩に手やり肩を抱き合ってさえいる。しかし足を踏み脇を殴っている。そんな有様だった。
 そしてだ。部活ではだ。他の部員達が気付かないようにだ。
 殴り蹴る。そして突き飛ばす。足を引っかけて転ばせた。
「ちょっと椎葉さん」
「どうしたの?」
 転んだ彼女にだ。皐月と二年生の一人が来て助け起こして問う。
「急に転んで」
「貧血?」
「いえ、それは」
「無理はしないでね」
 皐月がその彼女を助け起こして言う。
「本当にね」
「はい、すいません」
「謝ることはないから」
 皐月は彼女を気遣う顔で返した。
「そんなことよりね」
「はい」
「本当に無理はしないでね」
 言うのはこのことだった。
「とりあえず。休んでいいから」
「休んで。ですか」
「どっちにしても朝練はこれで終わりだし」
 それもまた皐月が彼女に休むように言った理由の一つだ。
「わかったわね」
「わかりました」
 こうして神無は今は部活を終えてクラスに向かった。だがその下駄箱も荒らされ靴の裏にはだ。これでもかと画鋲が刺されていた。
 しかもだ。机はだ。またしても落書きがこれでもかと書かれていた。
「これ、絶対同じ人間がやってるわよね」
「間違いないね」
 弥生と葉月の顔はいよいよ深刻なものだった。
「こんなことして何が面白いのかしら」
「そうだね。これは完全にいじめだよ」
 二人は立ちすくむ神無を宥めながらそのうえでベンゼンで落書きを消していた。神無が動けなくなってしまっているか
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