002話 吸血鬼となりて
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「タカミチ君!!」
「タカミチ!!」
シホが腕に噛み付いて高畑は苦悶の表情をしだすが、なんとか平静を保ちながら、
「シホ姉さん…大丈夫だ。もう、大丈夫…あなたはもう自由だ」
「じ、ゆう…? あなた…だれ…?」
「タカミチだ…シホ姉さん…」
「タカ、ミチ…?」
それを聞くと血のように真っ赤だったシホの瞳の色が次第にもとの琥珀色に戻っていく。
正気を取り戻したシホは一気に力が抜けたのか高畑に寄りかかるようにもたれる。
「ご主人様〜〜〜っ!!」
「タマモ…? 無事だったんだね…」
「はいっ!…ぐしっ…えぐえぐっ……それよりタマモは、ご主人様がご無事でなによりですぅ〜〜〜っ!」
「タマモ…ごめんね」
「いえ! とんでもないです! 私はご主人様のサーヴァントなのですから当然のことをしたまでです!」
二人が和気藹々と話している中、
「よかった…シホ姉さん」
「タカミチ…でいいのかな? 最後にあった時と違って年取ったみたいだけど…」
「それはそうさ。姉さんが行方不明になってからかれこれ二十年は経過しているからね」
「二十年、か…思ったより長く幽閉されていたみたいだ…」
「姉さん…あなたは」
「ん。言わなくても分かっているよ。私はもう人間じゃなくて吸血鬼だってことは…」
「そうか…すまない。あの時僕が油断をしていなければ姉さんは…」
「気にしないで。今こうして再会できている。それだけで今は十分だよ」
「………」
微妙に納得していないようだが高畑はそれで頷いた。
それでシホはなんとか立とうとしようとした時だった。
ガタン!
「あれ…?」
「ご主人様!?」
「シホ姉さん!?」
突然その場で足を挫いてしまった。
それをシホは不思議そうにしているが再度立とうとして、
「足に力が入らない…?」
「それはおそらく当分の間幽閉されていたからだろう。吸血鬼とて体を動かさなきゃ人間と同じで衰えるものさ」
「えっと、君は…?」
「エヴァンジェリン・A・K・マクダゥエルだ。名前くらい知っているだろう?」
「あの“闇の福音”の…?」
「その通りだ。同じ吸血鬼…真祖としてよろしく頼むぞ。我が同族」
「う、うん、よろしく。それでこれは治るかな?」
「吸血鬼のスペックを駆使すれば一月もせずに治るだろうよ。だからその間は車椅子でも使っておけ」
「ありがとう」
「いい。同族のよしみだからな。それと私のことはエヴァで構わん」
エヴァはいい笑顔をしながらそう言った。
実際色々と裏では考えているようだが…。
「さて…色々と募る話もあるようじゃが、まずシホ殿とアヤメ殿のこれからについて話し合おうと思うんじゃが、どうじゃろうか?」
学園長がそう言って話を一時締めくくった
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