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吸血鬼になったエミヤ
002話 吸血鬼となりて
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さんぞ! おい女狐!! そいつらのアジトはどこだ!!?」
「知りませんっ! わたくしだって知っていたら今からでもそいつらを呪い殺しにいっていますよ絶対!!」
「ちっ…!」
「マスター…」

タマモは「私の真の姿が顕現出来れば…」と呟いてエヴァと一緒に怒り心頭であった。
そんな様子に控えている茶々丸はオロオロすることしかできないでいた。
学園長と高畑も口は出さないがその心情は計り知れないものになっていた。

それからしばらくして会話できるくらいにまで落ち着いたタマモは再度何年かを尋ねてきた。
それに高畑は「2002年の十二月だよ」と答えるとタマモは口を両手で押さえて顔を青くし、

「そんな…それじゃご主人様は約20年余りも実験の犠牲に…」

20年…その年数の意味することは…。
それはとても言葉では表現できないほど恐ろしいことだった。
その期間の間…ずっとシホはあらゆる実験台にされていたという事。
とてもではないが通常の人間が出来る行為ではない。

「狂っている…いったいエミヤが、なにをしたっていうんだ? なぜっ…そんな事をされなければいけない!!」

高畑はもう普段の余裕もどこへやら…。
今すぐ飛び出していきたい衝動を抑えてその反動で握った拳の隙間から指が食い込んだのか血が垂れていた。
その時、学園長室に電話がかかってきた。

「なんじゃ? 今は話中だから手短に用件を…」
『大変です! 件の女性が目を覚ましたと同時に暴れまわっています!』
『!?』




◆◇―――――――――◇◆




魔法関連が関わっている病室…そこは今まさに廃墟と化していた。
目を覚ましたシホは暴走したかのように目を血のように赤くして爪を硬質化してあたり一面のものを次々と引き裂いていく。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっっっ!!!」

絶叫ともとれる雄叫びを上げながら周りに存在するものを手当たり次第に破壊していく。
その様子に治療班達は隅っこで怯えて見ていることしか出来なかった。
暴走したシホはそれを気にも留めずに何度も地面を引き裂いていく。

そこに学園長を始めエヴァ、高畑、タマモが急行してきた。
そして惨状に驚きながらも、

「ご主人様やめてください!! もうここはあいつらのアジトではありません…ッ!!」
「あ゛あ゛あ゛ーーー…ッ! よくも…! よくもぉ…!!」

タマモの必死の声にもシホは正気を失っていて反応していない。
やむを得ずに学園長は封印の魔法を唱えようとしたがそれよりも早く高畑がシホを羽交い絞めにして、

「よすんだ“シホ姉さん”! もうここにはあなたを苦しめるものは誰もいない!!」
「がぁっ!!」

ガブッ!

「ぐっ!?」
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