偽伝、無限の剣製 (前)
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。しかし限界まで弦を引き絞ればAランクにも達する一撃を放てるとはいえ、連射が出来ぬならここぞという局面まで力を温存すべきだというオルタの見解は正しい。
「シロウ、指示を」
オルタの冷徹な眼差しは、この特異点の戦いが最終局面に達したのだと告げている。
微塵の揺らぎもない機械めいた姿は頼もしくすらあった。俺はネロを見る。気遣われていると思ったのか、気丈に薔薇の皇帝は俺を睨む。侮るな、と。ここまで来て怒りに立ち止まる事も、嘆きに鈍る事もない。余はローマなのだからとその眼が雄弁に語っている。
ならば気遣うのは逆に失礼だろう。ネロから視線を切り、俺は総員を見渡した。
神祖の霊基を乗っ取った魔神が、ようやっとこちらへ焦点を合わせ、ヘドロの槍を振りかざす。
赤土が隆起した。魔神を基点に巨大樹の根が幹が津波となって襲い来る。
この特異点ではすっかり見慣れた光景だ。マシュが飛び散る木片から後衛と俺を庇うように立つ。その様は、まさに城壁の如き楯――
「敵性個体、戦闘態勢に入りました! 来ます!」
「ああ、完膚なきまでに勝ちにいくぞ。各自最善を尽くせ、全兵装使用自由だ! 露払いは俺に任せろ、往け!」
青と黒の騎士王が打ち出された砲弾のように疾走する。黄金と漆黒、交差する聖剣の軌跡が同時に風の穿孔を解き放った。
風王鉄槌
卑王鉄槌
樹海の津波を穿ち、己の道を切り開いたそれが開戦の号砲となる。
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