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人理を守れ、エミヤさん!
第四節、剣の鍛ち手
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キリと頷いた。

「無論です。最後の令呪を切り、聖剣で斬り付ける。神祖は言っていたでしょう、聖杯に取り込まれた自分は暴走していると。暴走しているなら、自制は利かない可能性があります。攻撃を受けたらなんらかのアクションがあるかもしれません」
「……」

 沈黙する俺に代わり、オルタが反駁した。

「アクションがなければどうする。令呪の無駄打ちになるだけだぞ」
「これは賭けだ、オルタ。私達全員の……いや人類の命運を賭けた一か八かの」
「フン、話にならんな。アクションがなければ無駄手間に終わり、仮にアクションがあったとしても、それがあの樹木をこちらに倒し私達を押し潰さんとしたらどうする。聖剣なくしてあの質量を薙ぎ払うことは出来んだろう」

 そうだ。アクションがなければ論外。あったとしてもそれがこちらを押し潰すものだったらどうにもならない。
 力業に訴えられたら詰む。それだけは回避しなければ……。

「オルタ、それにシロウ。本当は分かっている筈だ。現状、何をしても手詰まりなのに変わりはない。なら一%でも可能性のある道に賭けるしかないでしょう」
「……アクションがあり、それが俺達にとって致命的なものでなく、且つ対処可能なものである確率に賭けろって?」
「はい。私はそれしかないと考えます。聖杯に取り込まれた神祖に複雑な思考を可能とする能力がなくなっている……或いは思考力が残っていたとしても、彼が私達に利するように動くことに、私達の全てを賭けるべきだと思います」

 ネロを見る。帝都の有り様を眼にしての驚愕は抜け切り、ネロは俺を見て首肯した。

「余はアルトリアの策に乗るのがよい気がする。勘だが……やはり神祖が聖杯如きにいいように操られるままとは思えん」
「……確実じゃないんだぞ」
「確実なだけの運命などあるものか」
「……正気か? 人理が懸かっているのに、そんな分の悪い賭けに乗れと二人して言うのか?」

 強く頷く騎士王と、ローマ皇帝。
 オルタは否定的なスタンスを崩さない。マシュも、どちらかと言えば否定したがっている。
 アタランテは……マスターのネロに従う構えだ。

 ……切嗣。あんたならどうする?

 胸中にて問い掛け、俺は決断した。

「……死ぬ時は、前のめりだ」
「……」

 その一言で、俺の意図を察したのだろう。アルトリアが風王結界の鞘を解き、黄金の剣を解放して大上段に聖剣を振りかぶった。

令呪起動(セット)。システム作動。サーヴァント・セイバー、真名アルトリア・ペンドラゴンを指定。宝具解放し、任意の対象を切り裂け」

「感謝を、シロウ。この一刀に全てを託しましょう。約束された(エクス)――」

 聳え立つ雄大な樹槍。天を衝く偉容。
 それに、星の輝きを束ねる光の
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