第二節、その心は
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…その容赦のなさが素敵と思い始めたボクはもう駄目かもしれない……よし、なら未確認のサーヴァント反応の位置を伝えよう。そちらからは樹林が邪魔で姿が見えないだろうからね』
「頼む」
言って、オルタの肩に手を置き、耳元に口を寄せて囁いた。
――避けられるかもしれない。威力は落としてもいい、横薙ぎで広範囲を焼き払えるか?
その要望に、オルタはフッと嗤った。
撃破出来ればそれで良し。仮に回避されるなりしても、樹林を一掃し見晴らしを良く出来る。こちらの力を十全に発揮できるフィールドを一手で整えられる上手い手です、シロウ。
オルタの小声の賛辞を、端的に切って捨てた。
「おべっかを言っても断食は取り止めないからな」
「……チッ」
「オルタ? 貴女、今私を出し抜こうとしませんでした?」
アルトリアの問いかけにオルタは答えず。ロマニのカウントダウンが始まった。
『目標、五時の方角、五百メートル前方。速度から逆算するに聖剣の間合いに入るまで後五秒、四秒』
宝具解放。セイバーのサーヴァント、アルトリア・オルタを指定。
『三秒』
オルタ。聖剣を解放し、
『二秒』
聖剣の間合いにあるモノ全てを、
『一秒』
薙ぎ払え。
「――約束された勝利の剣!!」
黒い極光、暴竜の息吹が解き放たれる。
地獄の淵より鎌首をもたげる竜の首、鬱蒼と生い茂る木々を塵芥とする死の吐息。星の光を束ねた究極の斬撃は、確実に一帯を更地と化させた。
「……おい」
俺は、それを見て、目を細める。
「……エクスカリバーは聖剣のカテゴリーの頂点に位置する最強の対城宝具だったはずだな?」
返るのは、不快げに姿勢を戻した黒い騎士王の答え。
如何にもその通りである、と。特にオルタの攻撃力は、通常の騎士王よりも上回る規模のそれ。
「ならそれを相殺したあれはなんだ? 英雄王の乖離剣なのか?」
星の聖剣を上回るのは、原初の王が持つ乖離剣のみ。星造りの権能を宿す絶対の一だけのはずだった。
ならば。
拓けた地形、照り輝く日輪を背に。
真紅の原色の剣、しなる鞭の如き斬撃――空間切断に近しいそれを為したのは何者なのか。
オルタは断言した。
「私が万全ならば、あの忌々しい金色の王以外に、聖剣を相殺されるような無様は晒しません」
「……」
そこで、はたと俺は思い至った。
今のオルタ――いやアルトリアもだが、マシュも、アタランテも、そしてクー・フーリンまでもがカルデアの召喚システムの都合上、霊基を縮小された状態であった。
ロマニが言いにくそうに口を挟んでくる。
『……あの
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