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人理を守れ、エミヤさん!
第二節、その心は
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 ――盤面の向こう側。相手の打ち手を止めるため、妨害の一手(・・・・・)を打つ。

「……」

 仮説に仮説を繋ぎ合わせ、違和感の少ないピースをすかすかの仮説に組み込んで、辛うじて見られるパズルを作った。

 それを改めて離れた視点から俯瞰し、この仮説の正確性を客観的に分析すると――不思議と。全くの見当外れとは思えなかった。
 えてしてそういった感覚は、理論を超えて真理に至ることを俺は知っていた。
 少なくとも的外れではない、その確信が思考を澄み切らせる。

 ――このサーヴァントは、こちらを襲撃し少しでも時間を稼ぐ目的を持っている……。いやそんな半端を好む手合いではない。
 討てるなら討つ、そのための強力な一手だろう。今の俺達にとって時間は敵なのだ。こちらの居場所が相手に割れていると思われる以上、敵サーヴァントを避けていられる余裕はない。躊躇わず戦闘に入り、迅速な撃破を望んでいると相手が読んでいるとしたら、正面戦闘に強い三騎士か騎兵のサーヴァントを放って来るに違いない。
 そして相応の格を持つ英霊というのは、一部例外を除いて世界の存続を望んでいるはずだ。であれば抜け目のない打ち手のすることは限られる。手駒の反逆を防ぐため、主人に歯向かえるだけの理性を殺す狂化を付与することだ。

 ――嫌な敵だ、と思う。

 厄介なのは、ここまで全ての推論が的中していたとしても、こちらに打ち返せる手がないことである。相手の目論み通りにしか動けない、後手に後手にと回らされている感じがした。
 こと勝負事に於いて、後手に回るばかりで反撃もできないとなれば敗北は必定。何か、相手の意表を突く必要がある。
 これはと思う妙手は浮かばない。仮説が正解だったと確認できたらまた話は違ってくるのだろうが、今はそれどころでもない。今は目の前の問題に対処するのに手一杯だ。



「……一日だ。後、一日で帝都に到達する。そうだなロマニ」



『あ、ああ。その通りだよ』

 ロマニに確認すると、戸惑い気味に肯定が返ってくる。下手に戦い、損耗を強いられるのは面白くない。俺は最も攻撃力に長けたオルタに指示を飛ばした。

「オルタ。聖剣解放」
「承った」

 言うと、オルタは腰を落とし、腰溜めに黒い聖剣を構えた。それに合わせたわけではないが令呪を起動、システムを稼働させる。
 ロマニがどこか諦めたように問いかけてきた。

『も、もしかして、もしかする感じかな……?』
「さあな。ただ、聖剣の射程圏にサーヴァントを捉えた瞬間、オルタの一撃で消えて貰うだけだ。今は悠長に構っていられる余裕はない」
『そうか、そうだよね……一日あれば使った令呪も回復する、なら使い惜しむ理由はない……』
「解って来たじゃないか」
『あはは…
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