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人理を守れ、エミヤさん!
全て、全て、全ての言葉はローマに通ずる
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に、大半の者が目下に位置する故、わざわざ奴隷の子を使ってゲッシュを破らせる必要はないというのに。なぜ、奴隷の子を用いたか、分かるか?」
「……おい。まさか」
「左様。カエサルは光の御子の気質が真っ当な英雄のものであると見抜いておる。故に奴隷の、それも子供であれば、ほぼ確実に保護する(・・・・)と確信していた。そしてそれは的中した。今、光の御子の戦車には、爆弾と化した(・・・・・・)子が乗っている」
「……ッ!!」

 歯を強く噛み締める。アタランテがぶわりと総身の毛を逆立たせ、激怒のあまり立ち上がった。
 ロムルスは、静かに言った。

「誤解なきように頼む。本来のカエサルならば、決して執らぬ非道の策だ。そして、既に手遅れである。たった今、爆弾は機能し、光の御子の戦車は破壊された。光の御子自身は辛うじて勘づき逃れたようだが、手傷を負い、更にはシャドウサーヴァントと、十万を超えるローマの子らに包囲され、カエサルも決めに掛かった。ここから逆転することは困難であろう」
「……ふん」

 そこまで聞いて、なおも士郎は鼻を鳴らした。
 あるのは、信頼。一度信じ、託した以上、その敗北はあり得ないと信じている。

「逆転は困難? 侮るなよ、ロムルス。奴は最強の槍兵だ。その程度の逆境、跳ね返すに決まっている」
「……ふむ。確かに、まだ勝敗は解らぬ。恐るべきは光の御子の生存能力であるか」

 ロムルスもまた否定しなかった。だが、意見を翻すこともなかった。
 仮にその場で勝利しようと、重大な手傷と呪いを受け、令呪の支援は届かず、空間跳躍による召喚が不可能となれば、あちらの勝敗の如何などこちらには関係がなくなってくる。――クー・フーリンは、士郎達の戦いには間に合わない。

 だがそれがどうした。

 あちらは任せた。こちらは任せろと言ったのは士郎である。であれば、もとより増援をあてになどしていない。彼は役目を全うしている。それを知れただけで充分だった。

「分からないな」

 だからこそ、士郎は挑むようにロムルスに言った。

「ランサーは俺達の戦いに間に合わない――そんなことは端から考慮しているし、そもそも過度に期待していない。不利は承知の上、それでもロムルスのもとにさえ辿り着いたなら、勝利することは絶対に不可能ではないだろう」
「左様である。確かに(ローマ)の許にさえ辿り着けたなら勝利できる可能性はあるだろう。しかしそれは叶わぬ目論見だ」
「……どういうことだ」
「天晴れなるは光の御子。(ローマ)はそなたらの妨害をほぼ片手間で行なっていたに過ぎぬ。進撃する光の御子に集中し仕留めようと全力を振り絞っていたが、彼の英傑を止めることは遂に敵わなかった。――そしてカエサルめが光の御子を実質無力化した以上、聖杯の一部
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