全て、全て、全ての言葉はローマに通ずる
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により拡大変容し、ローマを包み、異界化させているものの正体だ」
曰くレムスを自身の手で誅した逸話。血塗られた愛の城壁に由来する宝具だという。
宝具としては、空間を分断する城壁を出現させることで壁の内側を守護するというもの。この城壁が、ロムルスの領域を覆い、透明な結界と化しているのだ。
士郎とアタランテがローマに足を踏み入れた時に感じた違和感の正体がこれである。
結界としての側面が強化、拡大されているため、城壁の形を失い文字通りの結界と化し、結界の内側はロムルスの体内に等しくなっているのだ。
つまり、ローマ全てが聖杯に取り込まれ暴走する、ロムルスの知覚領域内であるということ。その規格外はロムルスのような強大な格の英霊にしか発揮できないものだ。
――あの魔の柱の者が、あっさりとこの特異点から立ち去ったのは、暴走するロムルスを止める手立てなどないと確信していたからか。
だが、流石にロムルスがこうして暴走下にありながら、正常だった部分を切り離し、士郎らの許に向かったのは計算外だったろう。
さもなければ、この邂逅はあり得ぬものだったに違いない。
「既に確かめたであろうが、私の内にある限り遠く離れた者との意思疎通は不可能である。光の御子とのやり取りは出来ぬだろう」
「……カルデアとの通信は繋がるが?」
「私は、暴走していようと私である。満身より力を込め、全霊を振り絞り聖杯に抗い、辛うじてそなたらへの妨害を弱めている。もしもそなたとサーヴァントを繋ぐ装置の完成度が今少し高ければ、離れた地にいるサーヴァントとも意思の疎通は行なえたであろう」
流石に急造の念話装置では無理があったか、と今はネロの首に提げられている懐中時計を見る。
確かに以前試したが、クー・フーリンとの連絡は取れていない。だが……令呪で召喚すれば、こちらに呼び戻すことは出来るはずだが……。
「不可能である。空間跳躍による召喚は私といえど見過ごせぬだろう。私の意思とは関わりなく、聖杯によって令呪の巨大な魔力を関知し、妨害することになる。空間跳躍は失敗し、無駄に令呪を損なうだけだ」
「……ランサーは今、どうなっている?」
「ゲッシュを破らされ、半身が麻痺し、それでも獅子奮迅の働きを以て我がローマを相手に互角以上に戦いを進めている」
「……」
流石、と口の中で呟く。それでこそだ、と。
だがロムルスは言った。それは本来のカエサルならば絶対に取らぬ外道の策である。
「カエサルは聖杯により、属性が反転している。言ったであろう、今のカエサルは非道な策であっても平然と実行すると」
「……?」
「ゲッシュを光の御子に破らせるに用いたのは奴隷の子である。光の御子は王族故
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