全て、全て、全ての言葉はローマに通ずる
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のであるが故に」
「彼の神祖に友と呼ばれることは誉れだ。恐縮してしまいそうだが……敢えて受け入れよう。対等の目線で物を言うことを許してくれるか?」
「構わぬ。その心は既に完成し、私の庇護下にはない。故に直言を許す。非礼を許す。そして全てを許そう。エミヤシロウよ、私の愛はそなたも包んでいる」
故に、とロムルスはその雄大な体躯で、まっすぐにこちらに向いた。
体格はほぼ同じなのに、呑まれそうになる存在感。それに気圧されぬよう腹に力を込めて対峙する。俺に、否、カルデアにロムルスは告げた。
「――対等であるからこそ、私は憚ることなく忠告する。
シロウよ。そしてシロウに従うサーヴァントよ。
即刻、我が子ネロを置き、ローマの地より去れ。
もはやそなたらに勝機はない。一時退却し、態勢を立て直した後に、帝都ローマに現れよ」
――その言葉に凍りついたのはマシュとロマニだけだった。
士郎は、吟味するように神祖の言葉を反芻する。強張ったネロの顔は、何かを悟ったようで。騎士王達は纏う空気に電撃を帯びて緊迫感を露にする。
見定めるように、アタランテは士郎とネロを見詰めた。
「――それは、どういう意味だ?」
頭ごなしには否定せず、士郎はロムルスに訊ねた。感情的に何かを否定するほど子供ではないし、そもそも相手がロムルスである。決して、意味のないことは言わないはずだ。彼はネロを捨てていけと言っているのだから、断じて冗談を言っている訳がない。
「勝機がない、と言ったか。万が一にも?」
「そうだ。万が一にも、現状のそなたらに勝ち目はない。シロウが彼の光の御子を喚び出した時は、もしかするかもしれぬとは思ったが……我が子、カエサルによって彼の英傑は封じ込まれた」
「……ランサーが?」
小さく呟く。あのクー・フーリンが、封じ込まれただと?
ロムルスは、讃えるように言った。
「光の御子の武勇、神域の武人の中でも更に比類なきものであろう。彼の者の霊基が解放されたなら、私が万全であろうと、一対一の決戦では遅れを取るやも知れぬ」
「……」
「だが、我が子カエサルとて皇帝の代名詞である。英雄としての格は決して引けをとるものではない。そして今のカエサルは、あらゆる意味で純化しているが故に、勝利の為ならあらゆる非道にも手を染めよう」
「……まるでローマで起こっていることを全て、把握しているような口振りだな」
「如何にも。私は、ローマの全てを認識下に置いている。気づいておるだろう、今のローマは異界化しているのだと」
「……それは、お前の宝具か?」
「すべては我が愛に通ずる――私の結界宝具である。それが聖杯
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