全て、全て、全ての言葉はローマに通ずる
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ためか、逆ギレしたように大声で謝り、頭を下げたネロに、とりあえず溜飲を下ろす。アタランテを見ると、ぎくりと肩を揺らして、すぐにでも逃げたそうな目をしていた。
「……」
「……ま、マスター。私は悪くない、それを彼に説明して欲しい。そうだ、私は悪くない! マスターが私に勧めたから仕方なくだな、」
「アタランテ」
「はい!」
思わず飛び上がって応えた狩人に、俺は言った。
「主人の罪はサーヴァントの罪だ」
「そ、そんな理不尽が許されていいのか……!?」
「ギリシャ神話ほど理不尽な事例が多い神話もそうはないぞ。十秒動くな、それで許す」
「う、うむ。汝がそう言うなら、十秒動かない。それで許してくれ」
「ああ」
頷いて、いきなりアタランテの尻尾を掴む。
びくりと激しく体を揺らし、アタランテが動揺したように何かを言いかけたが、聞かずに尻尾を撫で回して、獅子の耳にも手を伸ばす。
中々の毛並み、素晴らしくふかふかだ。
十秒経つと手を離す。いきなりの暴挙にアタランテは腰砕けになってその場に座り込み、息も絶え絶えに艶めいた息を吐いた。
「せ、セクハラです先輩……」
「何を言うんだ。あれを見たら誰でも触りたくなる。仕方ないだろう?」
「……それは、まあ、確かに……」
納得したような、しないような、曖昧な感じに首を傾げるマシュ。素晴らしかったから、隙あらばマシュも触ってみるといいと伝え、アルトリアとオルタを見た。
どちらも明後日の方を見ている。目を合わせようとすらしていない。俺は特に何をするでもなく、二人に言った。
「両名に申し伝える。今後一ヶ月、飯抜きだ」
「!?」
「そんなっ、そんな無体な!?」
「慈悲を、シロウ、慈悲を!!」
「ええい、ならん! 縋り付くな鬱陶しい!」
青黒騎士オーズが足元に縋り付いてくるのをはね除け、俺は裁定を終えた。
そして、待たせる形となってしまった褐色肌の偉丈夫――神祖ロムルスに向けて頭を下げる。
「――すまない。一身上の怒りに駆られ、時間を取ってしまった」
「構わぬ。通すべき筋であった。我が子ネロにも良い教訓となったであろう」
「そう言ってくれると助かる。それで……少し時間を置いてしまったが、改めてそちらの真意を聞きたい。神祖ロムルス、一体貴方は何を以てして俺達に接触してきた?」
居住まいを正し、これまでの空気を一掃するようにして訊ねる。一人、ロマニだけが『やっと話が進む』と嘆息していたことを俺は知らなかった。
武装も何も持たない、ロムルスの残滓は常の余裕のある物腰を寸毫たりとも崩さず、静かに葡萄酒の瓶を呷った。
「カルデアのマスター……否、酒を酌み交わした以上は私の友であると認めよう。その意気は、ローマに通ずるも
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