全て、全て、全ての言葉はローマに通ずる
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滅すると、もう泣きたくなってくる。
この悲しみを、どうすれば解って貰えるだろう。俺は悲しみに打ち震えるしかない。
「お、怒っておる……絶対怒っておる……」
「あ? なんだって?」
「な、なんでもないぞ!? ほんとだぞ!!」
あわあわと慌てるネロに、ガラス玉のように色のない目を向ける俺。
もう一度、誰が食った、と繰り返し問うと、全員が全員、互いを指差した。
「なるほど……全員が犯人か」
ビキビキと青筋が浮かぶ。凄まじい怒気に冷や汗を流す面々。アタランテの尻尾がへにゃりと地面に垂れた。
俺は、ロマニに聞いた。
「ロマニ。一つ聞く。誰の霊基が最も上がっている?」
『あ、あー……その、あまり怒らないであげて欲しいんだけど』
「怒る? 何を言う。俺は全く怒ってない。ただ事実確認をしているだけだが」
『あ、あはは……うん、ごめん無理だ。下手に宥めたらこっちに飛び火すると見た。だから観念してくれ』
「ロマニ!?」
「ドクター貴様ぁ!」
裏切られた! みたいな反応をする容疑者筆頭達。ロマニは言った。極めて正直に。
『霊基が向上してるのは、青と黒の騎士王サマ方だ』
「やっぱりか」
『次点でアタランテ。魔力が充実してるのはネロくんで、あまり変化がないのがマシュだよ』
「……順当すぎて言葉も出んぞ」
はあ。と、深く溜め息を吐く。びくりと露骨に反応する騎士王達。
俺は、込み上げる様々な激情を飲み干して、そんな場合ではないからと、なんとか怒りを鎮めた。
まず、マシュを見る。俺に怒気を向けられたことがなかったためか、酷く狼狽して怯えていた。
手招きすると、びくびくとしながら立ち上がり、近づいてくる。ぬっ、と両手を伸ばし、マシュの柔らかいほっぺを摘まみ、限界まで引っ張って、ぱちんと離した。
ほっぺを赤くし、あぅぅ、と痛そうにするマシュの頭に手を置いて、言う。
「今ので許す。次からは俺に断ってから食べなさい。いいな」
「は、はい……。その……ごめんなさい」
「うん。よく謝れた。そういう素直なところが好きだよ、俺は」
「ぅぅ……」
次いで、ネロを手招く。ほっぺをガードしながら近づいてきたネロに、容赦なく拳骨を落とした。
あいたぁっ!? と悲鳴を上げたネロに、悪戯をした子供にするように噛んで含める語調で告げる。
「叱られるとは思わなかったのか君は」
「余、余は皇帝だぞ……余を叱れる者などそうはおらん……」
「そうか。だがこれからは、悪いことをしたら誰からでも叱責が飛ぶと知れ。そして、悪いことをしたら言うことがあるはずだが?」
「う、うむ……すまぬ」
「あ?」
「ご、ごめんなさい! これでよいか!?」
「……まあいいか」
焦っている
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