第四十幕:響き広がる虹
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天美さん!?
時崎「七夏ちゃんっ!」
俺は慌てながらも玄関へと急ぐ。
七夏「あっ!」
時崎「七夏ちゃん! お帰り!」
七夏「た、ただいま・・・です・・・」
凪咲「お帰り。七夏」
心桜「んじゃ! 確かに心桜速達で届けたからねっ!」
凪咲「ありがとう、心桜さん」
心桜「では、凪咲さん、失礼します! つっちゃー! またねっ! お兄さんも!」
時崎「あ、ああ」
話す事は決まっていた。だけと、決まっていた事を話すと、その次の言葉に詰まってしまう。
時崎「な、七夏ちゃん」
七夏「えっと、ごめんなさい」
時崎「っ!」
七夏「お部屋に戻って、宿題・・・ありますから・・・」
時崎「あ、ああ・・・」
七夏「失礼します」
七夏ちゃんは軽くお辞儀をして、そのまま自分の部屋へと入ってゆく・・・。上手くゆかないものだ。
凪咲「柚樹君」
時崎「はい」
凪咲「焦らなくても大丈夫」
時崎「え!?」
凪咲「七夏は、のんびりさんだから、もう少し、待ってもらえるかしら?」
時崎「・・・はい」
凪咲さんの言葉に救われる。だけど、俺は違うと思う。七夏ちゃんは、のんびりさんではない。のんびりと過ごす事が好きなだけだ。
凪咲さんなりの心遣いに流されるままではなく、俺自身が七夏ちゃんにしっかりと焦点を合わせなければ、七夏ちゃんの笑顔を撮るのではなく、心を撮らなければ・・・だから、例え七夏ちゃんが泣いたとしても、それが七夏ちゃんの本当の心なら・・・俺はシャッターを切らなければならない。
自分の部屋に戻り、なんとかならないか考える。凪咲さんは「もう少し待ってほしい」と話していたけど、今日中に七夏ちゃんとお話しができるようになっておきたい。
<<凪咲「でも、距離が離れ過ぎたり、時間が掛かり過ぎても、上手くゆかないのよ」>>
離れ過ぎてしまった場合、その心を取り戻す時間的な余裕は、そんなに残されていない。
七夏ちゃんとお話しができるような「きっかけ」はないものか・・・。
時崎「!? これは!!!」
鞄の中を漁っていると「水族館のチケット」が目に留まった。以前、蒸気機関車イベントで貰ったものだ。浅はかとは思いながらも、試してみる価値はある。今は他に思い付かない。俺は、七夏ちゃんの部屋の前に急ぐ。
トントンと扉を鳴らす・・・けど、返事がない。
時崎「な、七夏ちゃん!」
・・・やっぱり、返事がない。でも俺は続ける!
時崎「七夏ちゃん! 水族館の招待券があるんだ!」
・・・しばらく待ってみる・・・けど、返事は返ってこなかった・・・ダメなのか!?
七夏ちゃんの事をもっとよく考える。七夏ちゃんが、どうすれば喜んでくれるのか、どうすれば・・・七夏ちゃんがとっても喜んでいた時の事を
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