第四十幕:響き広がる虹
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時崎「七夏ちゃん!」
机の上に置いてあった「C11機関車」の鉄道模型と七夏ちゃんからのメモ。そのメモに返事を書く。今日、写真屋さんで受け取った写真の中から、俺のお気に入りの写真をいくつか添えて・・・
時崎「七夏ちゃん、ごめん。ちょっとだけ、失礼します」
俺は七夏ちゃんのお部屋の扉を軽く鳴らして、一呼吸してから、扉を開けた。七夏ちゃんの机の上にメモと写真を置いて部屋を出て、そのまま「C11機関車」の鉄道模型を直弥さんの所へ持って行く。少しずつ「いつもの出来事」を取り戻せてゆけると信じながら。
時崎「いや! 取り戻さなければっ!」
直弥さんの部屋の扉を軽く鳴らし、「C11機関車」を机の上に置く・・・。
時崎「ここで七夏ちゃんと一緒に・・・」
以前の想い出を取り戻すかのように「C11機関車」を線路の上に乗せる。七夏ちゃんから教えてもらった「ヘラ」のような物を使って・・・。
時崎「・・・・・」
こんな事を行なっていて・・・と、思いかけてその思いを消した。
時崎「こんな事のはずがないっ!」
ひとつひとつ、ここでの出来事その全てが大切な事だ。今、俺に出来る事はないだろうか?
時崎「確か・・・」
以前、七夏ちゃんは、機関車の後ろに客車と車掌車を繋いでいた。客車は線路の上に置いてあったけど車掌車が見つからない。机の上をよく見てみると、分解された車掌車があった。さっきも目に留まったはずだけど、車掌車だとは思わなかっただけだ。
時崎「これは、どういう事だ!?」
故障でもしたのだろうか!? バラバラになったままの車掌車を見ると切なくなる。
時崎「!?」
車掌車の側に小さな照明部品が置いてあった。それをよく見ると・・・。なるほど、車掌車に灯りを装備しようとしている事が分かった。七夏ちゃんが途中まで作業を行ったのだろうか?
もし、途中で分からないままだとしたら、俺は力になってあげたい。七夏ちゃんと、お話しが出来るようになったら、訊いてみようと思う。
車掌車の無い編成は少し物哀しく思えたので、列車を走らせる事はなく、そのまま、直弥さんの部屋を後にした。
凪咲さんは七夏ちゃんが帰ってきたら「お帰りなさい」と声をかけてほしいと話していた。自分の部屋に居てはその機会を逃しかねないから、居間で七夏ちゃんの帰りを待つ事にした。
凪咲「あら? 柚樹君!?」
時崎「凪咲さん。七夏ちゃん、もうすぐ帰ってくる気がして・・・」
凪咲さんは黙って微笑んでくれた。
凪咲「柚樹君、どうぞ!」
時崎「ありがとうございます!」
凪咲さんから頂いた冷茶を一気に飲み、気合いを入れた!
しばらく、目を閉じて、心を落ち着かせる−−−
??「ごめんください!」
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