第四十幕:響き広がる虹
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開ける。
凪咲「ごめんなさい」
時崎「い、いえ! 高月さんと天美さんは?」
凪咲「二人とも帰られました」
時崎「そう・・・ですか・・・」
高月さんを駅まで送りたかった気持ちが一瞬頭をよぎったけど、今の俺にその資格は無い。高月さんと今後も今までどうり、お話しが出来るのだろうか。
凪咲「色々、あったみたいね」
時崎「凪咲さん、俺、どうしたらいいか分からなくて・・・」
凪咲「皆んなが幸せになる事って、難しいのよ」
時崎「・・・・・」
凪咲「幸せって、誰かが譲ってくれた上で成り立つ事も多いから、その人への感謝の気持ちを忘れなければいいと思うの」
時崎「もう少し、考えてみます」
凪咲「ええ。柚樹君!」
時崎「はい!?」
凪咲「高月さんから伝言。『これからも、よろしくお願いします』って」
時崎「高月さん・・・」
凪咲「心桜さんから伝言。『明日からはいつものお兄さんに戻る事! つっちゃーの事、よろしくたのむよ! それと、あたしの事も!』って♪」
時崎「なっ、凪咲さん!?」
突然、天美さんのような勢いのある身振りと一緒に一気に話した凪咲さんを見て、驚きと可笑しさに襲われた。
凪咲「伝わったかしら?」
時崎「ククッ!」
なんか分からないけど、笑ってしまった・・・。
凪咲「あら!?」
時崎「すみません。凪咲さん、今のは天美さんの真似ですか?」
凪咲「天美さんだけでなく、高月さんもかしら?」
時崎「高月さん!? そっちは気付かなかったです」
凪咲「それは、少し残念かしら?」
時崎「え!?」
凪咲「高月さん、とてもお上品ですから♪」
そう言われると、高月さんと凪咲さんは仕草や話し方が似ていると思う。
時崎「はい。天美さんとは違って、凪咲さんの高月さんからの伝言は、真似ではなく、凪咲さんそのものだと思いました。凪咲さんと高月さん、お二人は似ていますから」
凪咲「まあ♪ 高月さんみたいな人に似てるなんて言われると嬉しいわ! そうそう、心桜さんがこの後、七夏を連れて帰ってくるからって」
時崎「え!?」
凪咲「それで、柚樹君にお願いがあって」
時崎「はい! なんでもします!」
凪咲「そんなに身構えなくてもいいの。ただ・・・」
時崎「ただ?」
凪咲「七夏が帰ってきたら『お帰りなさい』って声をかけてあげてくれるかしら?」
時崎「はい! もちろん! そのつもりです!」
凪咲「ありがとうございます。あと、ひとつ、私からの伝言。『これからも、七夏の事、よろしくお願いいたします』」
時崎「え!?」
凪咲「それでは、失礼いたします」
凪咲さんは、そう話して部屋を出てゆく。
−−−再び時を刻む音。俺は多くの人に支えられている事を実感する。今、支えてあげなければならないのは−−−
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