第四十幕:響き広がる虹
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な気持ちで、俺の質問に答えてくれていたのか、考えるまでもない。
時崎「・・・・・・・・・・」
高月笹夜さん。とても上品で、優しく、しっかり者。こんなにも魅力的な人から、想いを寄せられるなんて、本当なら舞い上がってしまうはずなのに、手足が震えてそうなりきれない自分が居る。
時崎「・・・・・そうか・・・・・」
その理由は、もう分かっているはずだ!
時崎「俺・・・七夏ちゃんの事が・・・」
大切な存在と、好きかどうかは別だ。俺は七夏ちゃんの事を大切に想っている。もちろん、天美さんや高月さんに対しても、それは変わらない。高月さんを目の前にしておきながら、七夏ちゃんの事を話していた事がその理由だと思う。
俺は、高月さんの想いに応える事は出来ないし、その資格もないだろう・・・。こういう事の決断は、早いほうがいい。高月さんに俺の気持ちを伝えなければならない。大切な人を傷付ける事になると思うと、また体が震え始めた。俺は、その震えを落ち着かせようと、布団の中に潜り込んだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
目覚まし時計の音で目覚める。いつもと違う朝に少し戸惑うが、今日も色々と行わなければならない。昨日の事を考えると、まだ気分も落ち着かない。俺は大切な人を傷付ける事になってしまう。だけど、時間経過で解決できる問題ではない。
時崎「あっ!」
よく考えると、高月さんの連絡先を訊いていなかった。七夏ちゃんなら知っていると思うけど、今、訊ける状態ではないだろう・・・どうすればいい? 七夏ちゃんではなく、凪咲さんなら知っているかもしれない。
民宿風水へ戻る前に、昨日寄れなかった写真屋さんへ向かう。
店員「いらっしゃいませ! あ、写真、出来ております!」
時崎「遅くなってしまって、すみません」
店員「いえ」
以前に現像依頼していた写真を受け取り、それ以降に撮影した写真から、特に俺のお気に入りを現像依頼する。
時崎「追加で、現像を、お願いします」
店員「いつもありがとうございます!」
写真屋さんを後にして、民宿風水へ向かう。七夏ちゃんに、どんな顔をして会えばいいのだろう。そんな事を考えると、足が重くなる。民宿風水の看板の前で、少し足を止める。七夏ちゃんを探していた時に、この看板を見た時の事を思い出した。今はこの先に七夏ちゃんが居る。俺は、足を進める。
民宿風水の扉をそっと開ける。
凪咲「柚樹君!?」
時崎「な、凪咲さん!」
凪咲「おかえりなさいませ」
時崎「え!? あ、ただいま」
凪咲さんは、今までどおり優しく微笑んでくれた。ここでのいつもの日常が戻ってくるかのように思えたけど、それはまだだと思う。
凪咲「一晩、ゆっくりと考えられたかしら?」
時崎「え!? はい・・・色
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