第四十幕:響き広がる虹
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何が起こったのだろう? まだ手足が震えている。
高月さんからの突然の−−−いや、突然に思えたのは俺だけなのかも知れない。高月さんが話したかった事って、この事だったのか!? まだ、聞き間違のように思えてならない。
今までの出来事が全て真っ白になりかける中、なんとか今日泊まる宿に辿り着き、ベッドに寝っ転がっている。写真屋さんには寄っていない。掛け布団の上で横になっていると、少し冷静さが返ってきた。そうなると、余計に分からない事が出てくる。今日一日、高月さんと一緒に過ごして、今までと大きな違いは・・・俺がこの街にあと一週間くらいしか居ない事を告げた時、
<<時崎「いや、まだはっきりとした事は・・・だけど、引き延ばせてもあと一週間くらいかなと」>>
<<笹夜「え!? そ、そう・・・」>>
この時に、少し様子が変わった事。あと、写真屋さんへは俺一人で行くと話した時以降だ。他に何かあるか? 今日一日だけでなく、今までの事も含めて考える。
「髪に虹を映す少女」
それが、高月さんの第一印象だった。だけど、高月さんは自分の髪はあまり好きではないらしい。その理由は七夏ちゃんの瞳と共通点がある。七夏ちゃんが割と髪を結ったりして変化があるのに対して、高月さんはいつもストレートで変化が無いのは、この辺りに理由があるのかも知れない。髪型を変え、その話題を誘発する事を防止しているのかと考えると繋がってくる。
「手の力が強い事」
以前、高月さんが本屋さんでナンパされ、手を掴まれた時、相手を手の力だけで撃退していた。過去に高月さんと手が触れてしまった時に、もの凄く拒絶するかのように手を引っ込められた事があったけど、手にコンプレックスがあるとすれば納得ができる。手の力が強いのはピアノ奏者だからだと今なら分かる。百貨店での即興演奏の後、高月さんが俺に手を差し出してきた事があった。あれは、それまでの拒絶の償いだったのかも知れない。
「花火大会の時」
大きな花火の音に驚いた高月さんが俺の腕に掴まってきた事があった。これは、反射だろうけど、それよりも前に俺の傍らに寄ってきていた。これは今回の出来事と繋がりがあるのだろうか。
高月さんとの思い出を振り返ってみて、高月さんが俺に好意を抱いてくれていると思われる要素はある。これらを踏まえて今日一日の出来事を考えると−−−
<<笹夜「昨日、大きな虹が架かってました」>>
時崎「あっ!」
<<笹夜「見えませんか?」>>
高月さんが、好きではない自分の髪の話題をしてまで、俺に見せてくれた虹。それは、自分の事よりも相手の気持ちを優先している心の表れではないのか?
・・・俺は、そんな高月さんの気持ちに気付かず、七夏ちゃんの事を相談してしまっていた。高月さんはどん
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