第四十九話 合格してからその二
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「制服のスカートも膝覆う位だし」
「先輩の場合は特にそうですよね」
「えっ、私はって」
「だって先輩小さいですから」
明るく笑って言ってきました。
「ですから」
「またそう言うのね」
いつもこの子には言われます、私が小さいのがそんなに面白いんでしょうか。結局高校三年間で背は一ミリも伸びませんでした。
「私が小さいって」
「一五二センチでしたっけ」
「一五〇センチよ」
「そこで自己申告します?」
「嘘はよくないから」
こうしたことで誤魔化しても仕方ないですし。
「ちゃんと言うわ」
「そうですか、僕と三十センチ近く違いますね」
「阿波野君は一七七か一七八よね」
「一七七ですね」
それ位だというのです。
「僕は」
「そうなのね、それじゃあ今はね」
「あっ、体育の時間ですね」
「そろそろだから」
制服姿の阿波野君にお話しました。
「行って来るわね」
「頑張って来て下さいね」
「そうさせてもらうわね」
「怪我にも気をつけて」
こうも言ってくれました。
「そうして下さいね」
「怪我もなの」
「はい、怪我なんてしたら」
それこそというのです。
「元も子もないですから」
「元も子もって?」
「折角合格したんですし」
大学のことを言うのでした。
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