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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
番外編
【番外編】十五番目の弟子の回想
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のようにまだ施術できない弟子にも、雑用の仕事がいくらでもありました。
診療時間終了後の勉強会にも参加し、マッサージの基礎を教わりました。
でも、ずっと立っていることに慣れていなかったせいか、終わったころには少しフラフラになってしまいました。
もう帰るだけだから大丈夫と思い、特に誰にも言わなかったのですが、マコトさんにはバレてしまったようです。
「大丈夫? 初日から無理させて悪かったね。心配だから家まで送っていくよ」
マコトさんはそう言ってくれました。
なぜバレてしまったのかはよくわかりませんでした。
「たぶん家まではたどり着けると思うので、大丈夫です」
僕は、初日からいきなり迷惑をかけてしまうのは申し訳ないと思って、そう返しました。
でもマコトさんは「いいのいいの」と言って、外出用だという鎧を着け始めました。
真っ黒で、見かけがものすごく怖い鎧でした。
どうしてあんなに怖いデザインなのかはよくわかりませんでした。
マコトさんは僕を背負ってくれました。
鎧は硬かったのですが、冷たくはなかったです。
マコトさんが揺れないように気を付けてくれていたらしく、気分がより悪くなることもありませんでした。
帰り道の途中、「大変ですよね、申し訳ありません」と謝りました。
でも、マコトさんは「気にしない気にしない」と笑って、
「弟子って抱えるものじゃなくて、背負うものだと思うからね。そのほうが責任の重さを肩でしっかり感じられそうだしさ」
と言いました。
意味はよくわかりませんでした。
家の前に着くと、マコトさんはゆっくりとしゃがみ、僕が降りやすいようにしてくれました。
「ありがとうございました」
僕がそうお礼を言うと、
「いいんだって。師匠としては、体調不良の弟子を家まで送るのは当然だと思うよ? 通勤時間も労働時間だからね。何かあれば労災認定もされるし。それに、『家に帰るまでが遠足』って言うでしょ?」
そんなことを言われました。
何を言っているのかよくわかりませんでした。
最後に、マコトさんは鎧の籠手を外して、僕の頭を撫でてくれました。
「じゃあ、いい夢見てね……あ、でも悪い夢でも大丈夫だよ。悪夢って、現実世界での問題点を洗い出してくれることもあるんだ。だから、現状で何か思い当たることがないかどうか分析して、これからに役立てていけばいいと思う」
そう言って、マコトさんは来た道を戻っていきました。
どういうことなのかよくわかりませんでした。
父はもう家に帰ってきていました。
「どうだった?」
と聞かれました。
「何がなんだかよくわかりませんでしたが、これから毎日が楽しくなりそうです」
僕はそう答えました。
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