第62話:強き想いは奇跡を起こす
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となった俺が生き残るための宿主をな。そんな時お前に出会った」
「3年前……友達の浩樹が死んで、悲しみに暮れていた時か…」
「いや、お前は友達の死を悲しんではいなかった。寧ろ憎んでいたじゃないか、一緒にデジタルワールドに行くと約束したのに、どうして先に死んでしまったのかと」
「まさか…!俺が裕樹を憎むなんて…!」
巨大な口の言葉に大輔達は少しずつあれの正体があのデジモンだと確信が出来てきた。
そして巨大な口は大きく口を開くと、その奥に見えるのは3年前の及川の姿だった。
3年前の及川は懐から親友の遺影を空に翳した。
空に浮かぶデジタルワールドに…。
『見えるか、浩樹!デジタルワールドだ!他の人間に分からなくても、俺には分かる!あれはデジタルワールドだ!!でも浩樹、酷いよ!先に死ぬなんて!俺1人を残して、酷いよ!!』
確かに巨大な口の言っていたように、それは恨み言だった。
共にデジタルワールドに行こうと誓った親友は…既にこの世にはいない。
及川は反対側の湾岸に7色の光が生まれたのを見て目を見張った。
そこから見えたのはデジタルワールドに向かう3年前の太一達であった。
『俺も連れて行ってくれ!頼む!頼むから!!』
必死に手を伸ばすも、デジヴァイスを持たない及川は選ばれし子供達と共にデジタルワールドに行く事は叶わない。
光が消えてしまい、涙を流しながら肩を落とした及川にどこからともなく声が掛けられた。
『……デジタルワールドに行きたいか?』
何者に望みを言い当てられ、及川は取り乱したように叫んだ。
『行きたい!行けるものなら行きたい!』
『お前が心の中の良心を捨てる気があるのなら連れて行ってやる。どうだ?』
姿を探して周囲を見渡すが、目に映るのは自分を受け入れないデジタルワールドだけ。
絶望仕切った今の及川に、その誘いを拒絶するだけの理性は無かった。
『何でもする!行けるんなら何だって!!』
『……分かった!』
了承の言葉と同時に霧のようなものが及川の右耳から侵入し、それにより僅かに残っていた人としての心を食い潰されたのである。
そして時間は現在に。
「あ、あれは……あれは俺の心の声だと思っていたが、そうじゃなかったのか!?」
「その後の事も、全て俺が教えてやったぞ」
そんなやりとりを今まで見守っていた子供達の中で、テイルモンが声を上げた。
「やはりそうか…お前はヴァンデモンだな!?」
3年前。
生き残るため。
このキーワードが当てはまるのはやはりあのデジモンしかいない。
大輔の考えは当たっていたのだ。
ウィザーモンと同じように幽霊に近い状態となり、及川に取り憑くこ
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