全滅の詩、語れ薔薇の皇帝
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たが、あてが外れた。
敢えて怒らせて気力を沸き上がらせようと思ったのだが、言葉遣い程度の不敬に目くじらをたてるほど狭量ではない、ということだろうか。
だとすれば、少し気まずかった。器を測り損ねたのもそうだが、一度この口調を使ったがために止め時が掴めない。……仕方ないか、と妥協した。
「……其の方ら、もしやカルデアとやらの者達か?」
「っ、……ああ。どこでその名前を?」
ふと、黙り込んでいたネロが口にした単語に、俺は目を見開く。ネロは淡く微笑んだ。不敵に笑おうとして失敗した、今に命の尽きそうな顔だった。
……嫌な感じだ。これは、死相である。
「他にも知っておる。マスター、サーヴァント、聖杯に、人類史の焼却……。よもや余がその責を負うことになるとはな……」
「……失礼、ネロ帝。貴女に触れる無礼を許してほしい」
「ふ。構わぬ、好きにせよ。先の見えた命だからな」
俺は断りをいれ、ネロの肩に手を置いた。そして彼女の体に解析の魔術をかけ――俺はすぐさまマシュに指示を飛ばした。
「っ! マシュ、カルデアに通信をいれろ! 大至急だ!」
「えっ? あ、はい!」
俺はすぐにネロの体を横たえた。
召喚サークルに手をかざし、マシュはカルデアに呼び掛ける。だが、繋がらない。
「先輩!」
「繋がるまでやれ! ネロの応急処置だけはこっちでやれる!」
――ネロは死に瀕していた。
全身になんらかの呪いが纏わりつき、ネロの体を植物に置換していっていたのだ。
このままなんの処置もしなければ長くは保たない! 俺は己とネロの間にラインを通じる。ネロは乾いた笑みを浮かべた。
「ローマだ……」
「……なに?! 何を言ってる! 分かるように言え!」
「ローマ建国の祖、かの神祖ロムルスは、槍をパラディウムの丘に突き刺し、大樹と化させた。その大樹の成長は、ローマ建国の伝説そのもの。現世に甦った神祖は、再び、ローマの建国を再現した。そうだ、神祖は余を、今のローマを否定し……ぐ、」
どこかうわ言のように呟き、ネロは苦しげに呻いた。よろよろと首を左右に振る。
「……いや、違う。神祖は、ローマだ。それがローマを否定するなど、有り得ぬ。何者かが、神祖を歪めたに違いない……。許せぬ、それだけは、決して許せぬ……! よりにもよって、神祖にローマを否定させるなど……断じて、許せるものか……!」
「……話は後で聞くことにした。痛いぞ、死ぬほど。だから死力を尽くして耐えろ! 生きたいなら!」
俺はネロの耳元で叫び、魔力をネロの体へ強引に流し込んだ。ぐああ! 体を海老反りにし、絶叫するネロ。
体内の呪いを、無理矢理に魔力で洗い流しているのだ。ネロにとって未知の痛みは、爪の先に針
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