第二章「栄華失墜皇帝グラウディウス」
逝くは死線、臨めよ虎口
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てきた。
「あ、あの……止めなくていいんですか?」
「止めなくていい。互いを無視して険悪になるよりも、言いたいことを言って睨み合う方が遥かに健全だ。それに、ああして意見を言い合うのは良いことだからな、レイシフトするまでは放っておいてもいい」
ああしていると、どこかで折り合いをつけることも出来るだろう。そうなれば、少なくとも俺の懸念した令呪を使っての自害もさせずに済む。
そう言うと、マシュはなるほどと言って頷いた。
ややすると規定の時間となり、管制室にロマニ・アーキマンとダ・ヴィンチがやって来た。
ロマニは憔悴した顔色に変わりはない。寧ろ酷くなっていたが、この間のように錯乱はしていなかった。落ち着いた物腰で、俺たちを見る。
対し、ダ・ヴィンチは今にも死にそうだった。休養の必要のないサーヴァントとはいえ、その精神は生前となんら変わりのないものなのだから、ここ数日間の激務にはさしもの天才も根を上げそうなのだろう。
特異点でも使える通信機の開発、ラムレイ二号の新設、宝具専用に魔力を貯蔵しておける礼装の開発、回収した聖杯の解析にとダ・ヴィンチをはじめとした技術部はてんてこまいだ。
「やあ、おはよう」
「おはようロマニ、ダ・ヴィンチ。……首尾は?」
「……おはよぉ。回収した聖杯は技術部が解析中……んで宝具の使用にも耐える魔力貯蔵型礼装はまだ。たぶん完成は四日後かな……」
「そうか。それじゃあ、通信機は?」
言うと、寝不足な目をしたままだらしなく笑い、ダ・ヴィンチは得意気に一つの魔力計を取り出した。
そしてわざわざ紐に通し、俺の首に下げてくれた。
これは? 目で問うと、彼は力尽きた亡者のように力なく言った。
「懐中時計型通信機……っていうのは見たまんま過ぎてアレだけど。要は、外付け念話装置だよ」
「……?」
「あー、士郎くんに分かりやすく言うとだ、冬木式の聖杯戦争の時みたく、マスターとサーヴァント間の繋がりを利用した、遠距離での会話を可能とする優れものさ」
「それは……凄いな。通信可能距離は?」
「互いが生きてたらどこでも繋がるよ、理論上はね。だってさ、互いを繋ぐレイラインが電話線の役割を果たすんだから。まあ、その外付け装置が破壊されたらダメだから、一応強度には気を使ったけれどね、サーヴァントとかの攻撃を受けたら壊れるから。そこは気を付けて」
「……首に下げてるものを破壊されるなら、俺も破壊されているだろうし、気にすることでもないな」
「あははー、かもねー。……あ、ダメだこれ。ごめんちょっと休ませ、て……」
ばたり、と電池の切れた人形のようにその場に倒れ伏すダ・ヴィンチ。相当に無理をしていたようだ。さすがに回収した聖杯の解析までしているとなれば、今回のレイシフトに付き合わ
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