第二章「栄華失墜皇帝グラウディウス」
逝くは死線、臨めよ虎口
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に帰還させるつもりでいる。異論はあるか」
「……ありません。その時は令呪を使うまでもない。己の不始末は、この手で決着をつけます」
「如何様にも、シロウ。私は貴方と共に戦うと誓った身。その盟約がある限り、私がシロウの重荷となることは決してない。……ああ、どんな非道な作戦でも、私は受け入れられる」
「……っ!」
ぎり、と歯噛みするアルトリア。何かを言いかけ、しかし口をつぐんだ。
俺は嘆息し、オルタとアルトリアの間に立つ。二人ともが距離を置いていたから手招きした。
青い騎士王、黒い騎士王は怪訝そうにしながらも、俺の左右を固める形で近づいてくる。あくまで互いが視覚に映らないよう、俺を間に挟んで。
俺はオルタの額を小突いた。
「くっ……シロウ、何を? 謂れのない罰ならば私も黙ってはいませんが」
「煩い。無意味にアルトリアを刺激する言い方をしたからだ。いいか、お前がリーダーのチームじゃない。俺がチームリーダーだ。圧政による指揮ではなく、和による結束を旨としている。昨日もそう言ったはずだな? オルタ。頼むから、俺の顔を潰すような言動は慎んでくれ」
「……了解しました。シロウの言うことです、従いましょう」
「よし。それじゃあ、二人とも友好の握手を」
思いっきり嫌そうな顔をする二人だったが、アルトリアもオルタも逆らわなかった。
手を重ねる両者の間から抜け、俺は出来る限り柔らかく言う。
「うん。こうしてみると、ちょっと仲の悪い双子の姉妹って感じだな」
「っ……。シロウ、その表現には頷けません。私とこのオルタは鏡合わせの同一存在。決して姉妹などではない」
「同意する。仮に姉妹だとしても、こんな出来の悪い妹の面倒は見られない。撤回を要求しますシロウ」
「! 誰が妹です。貴女は私の側面でしかないのだから、私が姉でしょう!」
「フン。同じ国を治め、同じ結末を経たのなら、その精神性によって上下は明らかにするべきだ。他のつまらない戦いならいざ知らず、このグランドオーダーに於いてくだらぬ綺麗事を並べ、シロウの足を引っ張りかねない貴様よりも、私の方が遥かに優れていると判断できるが」
「何を! これが人理を守護する戦いであるからこそ、秩序だった行動と理念は不可欠だ! 無法の罷り通る戦いなどあるものか!」
「どれだけの悪逆を為そうとも、それは無かったこととして修正される。ならば何を躊躇う必要がある。敵ごと国を焼き払おうが、勝てばいいだろう」
「それは無道だ! 人理を崩さんとする輩と同列にまで堕ちる気か! 自分だけではなく、シロウまで巻き込んで!」
「……」
……姉妹呼びは、さすがに軽率だっただろうか。
何やら激論を交わし始めた二人に嘆息し、しかし仲裁はしない。
離れた俺を見て、戸惑ったようにマシュが聞い
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