第五章
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「この寒さはな」
「アフリカの高山地帯よりもでごわすか」
「寒いのう、それもじゃ」
「ずっとでごわすわ」
「フィールドワークは学問の基本じゃが」
それでもとだ、老学者は撮影を終えてカメラを収めつつ話した。
「わしはここまでの寒冷地に入ったことはなかった」
「そうでごわしたか」
「しかしじゃ」
それでもとだ、彼は言うのだった。
「今学んだわ」
「寒冷地の寒さをでごわすな」
「そうじゃ、元々ケニアの大きな部族の長の家に生まれてな」
そしてというのだ。
「金があってアフリカ中も回ることも出来てじゃ」
「学問が出来たでごわすな」
「そうじゃったが」
「寒冷地は、でごわすか」
「アフリカになかったからのう、アフリカがこの島もあるから全てのモンスターと獣を撮影出来ると思っておったが」
老学者は北原達に残念そうに話した。
「それでもじゃ」
「この島に来たのははじめてで、ごわすか」
「それで寒冷地に入ったのもな」
「はじめてで」
「それでじゃ」
「今言われたでごわすか」
「予想以上だとな」
「そうでごわしたか」
「しかもケニアは暑い」
この世界のこの国もそうなのだ。
「そしてお前さん達もじゃな」
「日本の暑いところにいたでごわす」
「僕もです」
北原だけでなく又吉も述べた。
「ですから寒い場所には慣れていないです」
「三人共そうじゃな。わしはともかくお前さん達には迷惑をかけてるのう」
「依頼を引き受けたでごわす」
これが北原の返事だった、後ろで又吉も無言で頷いている。
「ならでごわす」
「いいのか」
「そうでごわす」
まさにと言うのだった。
「心配は無用でごわす」
「そうなのか」
「ではでごわす」
「これからもか」
「助けせてもらうでごわす」
こう話してだ、そしてだった。
二人で老学者の撮影を助けていった、護り様々なサポートをしてだ。モンスターや獣はともかく寒さが南国育ちの二人の敵で。
時として獣、今は熊を狩ってそれを鍋にして食いつつだ。北原は言った。
「熱いものこそがでごわす」
「寒さに対するものじゃな」
「そうでごわす」
こう老学者に話した。
「だからでごわす」
「今もじゃな」
「熊鍋を作ったでごわす」
「成程のう」
「このことは、でごわすか」
「高山で身を以て知っておったが」
それでもと言うのだった。
「ここまでの寒さは本当にはじめてでじゃ」
「身を以てはですか」
「知らなかったわ」
そうだったというのだ。
「ここはじゃ」
「そうでごわしたか」
「うむ、いい学問になっておるわ」
「フィールドワークでごわすな」
「こうしたこともな」
寒冷地で熱いものを食って身体を暖めて生きる、そのことがというのだ。
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