三話『一月前のお話』
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ウィキに名前が載っているものを順不同で呟き、手を入れた。
『幸運』な事に、この袋を作ったモノは、ウィキを見て適当にアイテムを外装だけ作る輩ではなかったらしい。
一通り確認したのち、彼は自身のギルドの、最も有名な武具を呟く。
『決闘者の鎧』
彼が立ち上げた、緩い会社の仲間達とのギルド『頭がファンタジー()』のギルド武器を思いだし、手を入れて直ぐに引き抜いた。
直ぐに結果は出た。
明らかに袋の口からは出ない、一揃えの鎧が袋から出た。
(さて、ここからだ…………)
自分のギルド武器である鎧は有名だ。
先程話したアインズ・ウール・ゴウンの一人、たっち・みーが優勝をしたワールドチャンピオン戦と呼ばれる大会で、『準優勝』だったキャラの鎧だからだ。
ユーザーの誰かに聞けば、名前や効果なんて直ぐに分かる。
だが『武器』は別だ。
それもそのはず、『伝説の剣』というものに深い愛情を抱いていた玄人は、最短で3日で、デザインやエンチャント効果を変えていたのだから。
あまりに代える頻度が高いので、他人どころかギルド仲間からも遂に正式名称で呼ばれず、『玄人の剣』と呼ばれるようになりました、といえば、その面倒くささがわかるだろうか?
兎に角、そんな武器だ。
正式名称が分かる奴は神様くらいなこの武器が取り出されるかどうかで、この世界がデッドコピーアイテム蔓延るゲーム世界なのか、それとも人智を超えた世界なのか、分かる。
「来い!『覇王聖魔剣777号』!」
…………名前のセンスを問うてはいけない。
玄人はその叫びと共に、白い袋に手を突っこみ、そして…………
数分後。
玄人は全身鎧(フルプレート)に身を包み、片手に盾を、腰には剣と袋を装着した、西洋の騎士風の服装になっていた。
「マジかよ…………」
全部あった。
しかもチームメイトにすら見せてない、一昨日完成した兜まで。
「しかも、なんだよこれ…………」
力が溢れてくる。
拙いが、そう言うしかない感覚が、玄人の体を駆け巡る。
その感覚に溢れる力への喜びと、未知の感覚への恐怖の両方を感じながら…………
「後、2つか…………」
残りの2つの宝箱に、言いようもない『期待』を感じていた。
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