三話『一月前のお話』
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いでに仕事に戻りたい。
仕事中毒と言われようが、正直、玄人の本音はそれだった。
だから、じっとするのを止めた。
『ログアウト出来ないオブジェクトの部屋なら、多少無理しても大丈夫。作り直し確定だし』という理論のもと、彼は壁や床を足や手で叩きまくってみた。
反応なし。
石板に叩くなどのアクションをしてみた。
反応なし。
…………宝箱かあ。
正直、この謎(?)ハウスで、怪しげな箱を開きたくはない。
たとえゲームの世界であっても、見知らぬ箱とか開けたくないのに、それが未確定の場所で開くなんて、尚更いやだった。
だが、このままじゃ埒(らち)があかない。
彼はゆっくりと、一つ目の箱に手をかけた。
…………カチリ。
幸か不幸か。
宝箱には、鍵が入ってなかった。
一つ目の箱を、恐る恐る開ける。
たっぷり30秒かけて、開いた宝箱に入っていたのは…………
「…………袋?」
そう、袋。
白い、ご丁寧に腰に縛るヒモが着いた、袋である。
何が入ってるんだ?
そう思い、まさぐるも感触は無し。
なんだコレは?と一瞬思うが、直ぐに首を振る。
まだ、完璧に調べていないのにその認識は、不味い。
玄人は知っていた。
序盤に手に入れたモノを要らないと思って処分すると、後半で苦労するRPGを。
「とは言っても、使い方なんて便利なものはあるんかね?っと」
とりあえず、袋を底まで眺めた後、まだ調べていない所、即ち、宝箱の『中』を調べた。
大して大きくもない『それ』を調べると、答えは直ぐに出た。
宝箱の蓋の裏に、日本語で一文、記述があるのだ。
「おっしゃあ!」
無意識に喜びの声が出る。
別に閉じ込められた事が解決したわけではないが、謎が解けるという快感は、予想外に玄人の心に安堵と余裕をもたらした。
うっきうきで、『その一文を読む』
『念じて手を入れると、玄人のユグドラシルでのギルドのアイテムが取り出せます』
「…………ん?」
意味不明である。
勿論ユグドラシルは別会社のゲームであり、此方に干渉する術はない。
なら、『模造品』では?
もっと不味い。
小さくとも当社はプロのゲーム会社だ。
たとえユグドラシルが、もうすぐサービス終了の憂き目にあうことが決定していても、仕事としてゲームを作っている以上、パロディを超えたデッドコピーのような真似をすれば、発売後、即発売停止である。
「何考えてるんだよ……」
兎に角、確かめなければ…………
とりあえず、声優関係でゲームを共に作った女優のギルド、『アインズ・ウール・ゴウン』など、有名どころのギルド武具等で、攻略
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