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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 人類封鎖試練
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という明確な定義。その心の在り方は討伐されるべきものなのだと断言できるような、そんな存在。

そして、三つ目。それは、境界の定義。人類が明確に善と悪に二分できるはずもなく、それ故に協会の存在が必要になる。ここにいるものはどっちつかずなのだと、そのあいまいさを肯定する要素。

箱庭世界には、この三つめが存在しなかった。より明確に言えば、発生することが不可能であった。
一つ目の善を定義する者は、箱庭に封印される形で存在していた。絶対悪の魔王・三頭龍アジ=ダカーハ。絶対的な悪となること絶対的な善を定義する存在。
二つ目の悪を定義する者は、箱庭に縛られる形で存在していた。外界における裁判の象徴・正義の女神ユースティティア。自らを善に固定することで、絶対的な悪を定義する存在。
しかし、三つ目の境界を定義する存在。これだけは箱庭には存在しておらず、それ故に人類封鎖試練が発生することもなかった。本来の歴史であれば確実に発生していなかったそれ。しかし、この歴史ではそれを定義できるだけの存在がいる。
それが、鬼道一輝と言う存在。世界にとって『自らを救う存在』という善性の者であり、人類にしてみれば禁忌の果てに発生した悪逆の徒であり。そんな霊格を獲得し、それに最も適した存在。鬼道一輝の在り方は、境界として君臨するに足る存在であった。

こうして、箱庭の世界にその試練を構成する三要素が揃った。しかも揃うだけでは飽き足らず、『鬼道一輝』という個人の下へ集約された。三つの定義は、一人の人間に託される。
こうして発生したのが、より厳密に言えば発生しようとしているのが人類封鎖試練・善悪の定義。その発生は確定している存在。

では次に。何ゆえにその試練が人類を終末へと導くものなのか。それも、『クリアされたら人類が滅びる』という、ある種人類最終試練とは真逆の試練として確立しているのか。それはこの上なく馬鹿々々しい、下らない理由からだ。

もし仮に、善悪が完全に定義されたのならどうなるのか。善と悪の似分だけではなく、境界の存在も含めた『完成された定義』。その定義が間違いない以上、人を裁くのにそれを用いるのは当たり前の流れである。
なにせ、誰かの意志によって決まる定義でもなく、神などと言う不確定な絶対存在によるものでもない。完全に、完成された定義なのだから。

そうして、世界から『悪』はなくなって行く。初めはその行いから、正しくない存在を消滅させられ。最後には、思考に対してすら裁きを下して。訪れたるは完全なる管理社会。思考レベルで管理される人類に成長が訪れるはずもなく、成長無き人類史など、変化なき人類史など。

そんなもの、終わっているのと何が違うのか。


そんな結末を預かる存在を、貴方たちは自らの下へ連れ戻そうという。そんなことをすれば巻き込まれる
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