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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 人類封鎖試練
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以上の確率で実行されかねない場合においてのみあの状態になって、電流で気絶させられて、処刑されます」

この場合、反応すべきはどこなのだろうか。
そこまでの精度でもって判別できるシステムが開発されている事実か。
はたまた、それでもなお実行前に処刑されてしまうシステム化。
あるいは、そんなシステムを受け入れてしまっている社会の方か。

「……それにしたって、無茶苦茶だろ」

口を挟むべき場所はいくらでもある。それ故に、十六夜は発言をためらわない。

「そもそもとして、その想像が……思考が危険であるかの判断が曖昧だ。何を持って善とし、何を持って悪とするのか。誰かに対する嫉妬だって黒く悪質なものから自らの向上心である善良なものまである。そこの判断ができない以上、そんなシステムが根付くはず……」

そこまで言って、まさかと言う可能性にたどり着く。そう、今のままでは決して成り立たないシステムであることは間違いない。だが、成り立たないはずという点は問題ではないのだ。なにせ未だ到達せざる極地であったとしても、そこは大した問題ではない。なにせ、そんな試練の具現こそが『試練』と名付けられる存在であり。

「まさか、そう(・・)なのか?さっき言ってた鬼道一輝の主催者権限ってのは、保有している試練ってのは、そういうこと(・・・・・・)なのか?」
「いやだなぁ、そんな曖昧な言い方をされても分からないよ?」

分かっているだろうに、はぐらかすように。自分の口で言わせようと、ヤシロは促す。
そして。誘われたのなら、答えなければならない。口の中が渇き、言葉は空を切って……それでも、紡ぎきる。

「アイツが預かる試練ってのは……『善悪の完全な定義』、か?」
「大正解。それこそがお兄さんの保有する人類封鎖試練(コラプス・エンブリオ)。ゲームがクリアされ、人類がその試練を乗り越え、獲得した瞬間。人類史の崩壊が確定するクリアされてはならない試練(・・・・・・・・・・・・・)の一つです」



 ========



人類へ与えられた試練、『善悪の定義』。
本来、箱庭世界がどのような結果をたどったとしても。試練として発生することこそあったとしても人類封鎖試練(コラプス・エンブリオ)として確立することはあり得なかったはずの試練。
なぜなら、それを完全に定義するために必要な情報が箱庭世界には足りていなかったのだから。

そも、善悪を定義するのならば。そのために必要になる要素は三つ存在する。

一つ目は、善の定義。このような存在は善であると、ここから先であれば善であるという明確な定義。その心の在り方が正しいのだと明言できるような、そんな存在。

二つ目は、悪の定義。このような存在は悪であると、ここから下であれば悪である
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