お腹が空きました士郎くん!
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か昔のことがどうでもよくなってきた。昔の関係を偽りだと感じるのなら、新しく始めてしまってもいいのでは、と、実に手前勝手で傲慢な考えに支配されたのだ。
偽物を、本物にする。まあ、そう思うことは許されるのではないだろうか。だからといって過去のことがなくなるわけではないが。俺はアルトリアに嫌われたくないし、俺は俺のエゴで罪を忘れよう。
最悪で、最低だが――人類を救うのだ、ちょっとぐらい多目に見てもらってもいいはずだ。
一瞬、見透かしたような顔で微笑んだアルトリアには気づかず。
俺は、世間話のようにアルトリアに提案した。
「なあ、セイバー」
「はい、なんでしょう」
綺麗に完食し、流石に少しは弁えているのかお代わりの要求はなく。アルトリアは、見惚れるぐらい綺麗な姿勢で俺に応えた。
「ロマニだけじゃないが、カルデア職員の負担が大きすぎる。なんとか出来るサーヴァントを呼びたい。誰か、アルトリアが喚んだら来てくれないか?」
「……む。……それでしたら、適任の者がいます」
一瞬考え込み、すぐにアルトリアは思い至ったのか円卓の騎士を推挙した。
「その忠誠に曇りなく、文武に長けた忠義の騎士。
――サー・アグラヴェイン。
彼ならきっと、こんな私にも応えてくれます。円卓の中で彼ほど今のカルデアで助けになる者はいないでしょう」
なるほど、ありがとうと呟く。
マシュのあの盾を基点に、騎士王が召喚を呼び掛けたらきっと円卓なら狙って呼び出せる。
個人的に円卓にいい印象がないので、出来るなら一人も喚びたくなかったが、ロマニの激務を一日だけとはいえ体験した今、見過ごせはしない。
一人だけならいいかと思う。叶うなら、その騎士と上手くやれたらいいなと呟いた。
「シロウなら大丈夫ですよ」
「……何を根拠に?」
胸を張って断言するアルトリアに、俺は問いかけた。
「だってシロウは鉄よりも固くて、剣よりも熱い。アグラヴェインは人嫌いですが、貴方の前では形無しでしょう」
「……そうか?」
わかるような、わからないような……いや、やっぱりわからん。
地頭が良くないのだ、妙な表現には首を捻ってしまう。
まあいいや、と口の中で溢し。
「そうだ、アルトリア」
「なんでしょう」
「今夜、どうだ」
「――はい」
「酒にな、付き合えよ」
「――、……」
「……?」
「シロウ。あまり、私を怒らせない方がいい」
「???」
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