幕間の物語「いつかどこかの時間軸」1
メンタルケアだよ士郎くん!(※なおする側の模様)
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やかに別れたロマニは、自室に戻るとストン、とベッドに腰を落とした。その寝台が使用された形跡はない。
ロマニは時計を見た。
午前3時。あと2時間後には部下が起床していつもの仕事に入るだろう。それまでに自分も出なくてはならない。
今、横になったら起きられないだろうな、と思う。だからロマニはベッドに腰かけていたのを、デスクの椅子に移って体から力を抜いた。
座ったままの仮眠。これなら一時間で起きられる。健康には悪いが……なに、一年も耐えなくてもいいとなれば楽なものである。直接命を張っているマスターの彼より、よほど楽な仕事だった。
呆と、頭を空にして虚空を眺める。明かりは点いたままで、照明が眩しい。だが、なんでだろう。眠気がない。……ちょっと、まずいかな、と思った。
思考が鈍い。仕方ないから薬でも飲んで誤魔化そうと決めた。今、自分が倒れたら、誰がカルデアを支える。マスターの彼と、マシュを誰が助けられる。
スタッフの中に、余裕のある人間なんていない。体力的にはまだまだ元気な自分が頑張らなくてどうするというのだ。そう自身を励ましていると、ぱしゅ、と空気圧の抜ける音がして、扉がスライドした。意識なくのろのろと目を向けると、そこにはロマニの部屋を訪ねてきた男――黒塗りの改造戦闘服を纏った衛宮士郎が立っていた。
「よっ」
なんて言って、二つのグラスと酒瓶を持つ手を上げてくる士郎。瞬間、ロマニの意識は覚醒した。
かっと頭に血が昇る。唾を飛ばす勢いで士郎に食ってかかった。
「士郎くん!? なんでこんな所に……! もう午前3時だぞ!? 特異点が新しく特定されたばかりなのに、どうして休んでないんだ! 君の状態は常に良好に保ってないとダメだってあれほど――」
「ああ、はいはい、わかってるわかってる。だから、な? 落ち着けロマニ」
無理矢理ベッドにまで押し返され、ロマニは片手で押し込まれるようにして座らされた。暴れる患者も押さえつけられるロマニが、腕力でまるで相手にもならない。流石に精悍な戦士は体格が違う。
「医者の不養生とはよく言ったものだ。気づいてるかロマニ、酷い顔だぞ」
「えっ……」
言われて、ロマニは自分の顔に手を這わせた。目元に出来ている隈は隠してる。顔色もなんとか。
ロマニにグラスを押し付けると、士郎は椅子をロマニの前まで運んでどかりと座る。そして、無造作にロマニに凸ピンを食らわせた。
「あっだぁぁー!」
凄まじい威力に頭が吹き飛んだかと思った。
「いきなり何をするんだ!」とロマニは抗議したが、士郎は聞く耳を持たず。
ロマニの手にあるグラスへ酒瓶の中身を――果実酒をなみなみと注いでいた。
「……えっと?」
「苺の果実酒、手作りだ。市販されてない奴だぞ。飲
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