第61話:子供のままでいたかった大人
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の時からどんなに待ちわびたことか……!浩樹、君が生きていたら誘ったのにごめんよ……!」
後少しでデジタルワールドに行ける。
それを考えると今まで張り詰めていた物が緩んだのか号泣した。
「どうしましたボス!?」
いきなり泣き出した及川にアルケニモンとマミーモンは困惑する。
「だって、後少しで夢が叶うんだよ!?デジタルワールドを見ることも出来ずに逝ってしまった浩樹の分までデジタルワールドを見て回り、あいつに教えてやれるんだ!!後少しの辛抱だ浩樹!お前が見ることが叶わなかったデジタルワールドを俺が…」
「お父さんは友達が罪を犯してまでデジタルワールドに行くなんて絶対に望みません!!」
「何?」
及川はハッとなって声のした方を振り返るとそこには…。
「伊織!?どうしてここにいるだぎゃあ!?」
「隣の爺さん誰だよ?」
アルマジモンが目を見開いて伊織を見遣り、ブイモンは伊織の隣の主税に疑問符を浮かべた。
「伊織の祖父ちゃんだぎゃ」
「なるほど」
アルマジモンの説明にブイモンが頷いた。
「お前は浩樹の息子…小さい頃の浩樹にそっくりだ…そしてお前は…?」
親友の忘れ形見と言える伊織を見た後、隣の老人を見つめる及川。
どこか見覚えがある気がするのだが、それを見た主税は目を細めながら口を開いた。
「…やはり覚えとらんか…最後に会ったのは大分昔じゃったからのう…昔から無口で友達の少ない子じゃったが、まさかこんな事になっているとは……伊織の祖父と言うより、君の友人、火田浩樹の父と言った方が良いな」
「浩樹の…お父さん!?」
及川は呆然としながら、親友の父親の主税を凝視している。
「君達はデジタルなキャラクターが、自由に生きていくことの出来る世界の存在を信じていたようじゃったな…。わしは自分の息子のそんな姿に、不安を感じてそんな夢みたいな話をすることを禁止してしまったんじゃ。その時の悲しそうな顔は今でも覚えておる。それから、青年に成長しても君達はデジタルな世界の存在を信じて、2人だけで夢を膨らませていたんじゃな。が、浩樹の突然の死。あの時の君の落ち込み様は普通じゃなかった。考えてみれば当然のことじゃ。君にとって友人と言えるのは、浩樹だけだったからなぁ…。あの時、わしがもっと君の力になってやれたらとそう思うとな…。」
主税は贖罪にも取れる言葉を淡々と紡いだ。
もしあの時、幼かった息子や及川に夢を描く事を禁じなかったら。
涙を落としながら墓の前から去り行く及川の背中に何か一言でも声を掛けてやれたら。
もしかしたら何かが変わっていたのかもしれない。
しかし過ぎてしまった過去を変えることは出来ない。
いや、出来る存在はいるかもしれな
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