溺れし神は何を見るか
第二話:絶望死す
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エネルは、ゴロゴロの実の力以外にもうひとつ特徴的な能力を持っている。名は心網。別名"見聞色の覇気"。この能力は、相手の"声"を聞き次の攻撃を読むことができるというもの。"声"と言っても、口から出す方の声ではない。謂わば"心の声"だ。射程範囲は、並みの大きさの島なら完全に覆えるほどのもの。
更に、エネルはこの心網とゴロゴロの実の能力を掛け合わせ、月の都の大部分の"声"をより明細に感じとることができていた。
そして、エネルの攻撃範囲もまたこれと同様である。
「何かがとてつもない速度で向かってきている……」
そうとは知らない月の使者のリーダー、綿月依姫は一直線に移動していた。
「超人系か? いや、動物系の可能性の方が高いか……」
月の都に悪魔の実は存在しない。勿論エネルはそんなこと知りもしないが、悪魔の実の力としか言いようがないほどの化け物染みた速度だ。エネルはそうとしか思えなかった。
第二話:絶望死す
月の都防衛機関"月の使者"のリーダー綿月依姫は、神以上の実力者である。
"よっちゃん"という愛称で知られる彼女は、その生真面目な性格からか、ツッコミ役に回ることも多い。だが、一度戦闘モードに入れば、彼女ほど頼もしい存在はいないと言えよう。
もし、彼女の知人に印象を聞けば、十人中十人が鬼、もしくは悪魔と答えるだろう。だが、依姫の能力はその印象の真逆である。
彼女の能力は、"神を降ろす程度の能力"と言ったところだろうか。依姫は、総勢八百万の神の力を自らの身に憑依させることで、その力を操ることができるのだ。
「まずいですね……。まさか、これ程の能力の持ち主だったとは……」
依姫が"月の使者"本部を飛び出てわずか数秒後、月に似合わぬ黒く染まった空から幾つもの巨大な落雷が発生した。十中八九、襲撃者の仕業だろう。
先程無線で"全滅"という報告が入った。自分が心血を注いで鍛え上げた部下達が敗れてしまったことで、依姫は焦りを感じずにはいられなかった。もし、彼等が死んでしまったら……
「急がねば、手遅れになってしまう……!」
☆★☆★☆
エネルはマクシムに戻り、とてつもない速度で向かってくる謎の人間を、上空から待ち構えていた。腰に手を当て、肩に黄金製の棒、通称"のの様棒"を置きながら考える。
何故、自分は青海のゴム人間なんぞに負けてしまったのか。
「平常心、か……」
戦いにおいて、平静を保つことはもっとも基本的な行動である。エネルには、それが出来なかった。生まれて始めて見る雷の効かぬ人間。こちらの実体を掴
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