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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第27話 二重の約束
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ゃなかったの!? フォンバレンくんは、今はあなたが抱えているものをちゃんと理解してるの!?」

 喉元に突きつけられた切っ先のように鋭利な、セレシアの最後の一言。夢の中でも痛感していた自らの自分への無知を、ここで再確認させられる。

 そして再び湧き上がる後悔。自分の喉元まで急激に来たそれを、あふれださないようにと、エースは少しずつ言葉にしていく。

「……本当に理解してたなら、こうなることはなかったんだ」

 エースの静かで重みを増した言葉に、一方的にヒートアップしていたセレシアの表情から熱が消え、フローラもその言葉に耳を傾ける。言葉に引きずられて静かになった空間で、エースが自分の想いを口にする。

「本音に触れれば心が苦しくなるから、本音を嘘で塗り固めて心を守ってた。でもそうやって臆病であり続けたことで、一度は最悪の結末すら迎えそうになった。俺の臆病さが他人を巻き込んで、傷つけた」

 他人に伝えるよりもどちらかと自分に言い聞かせるために、エースは偽りのない言葉を口にする。夢の中で作った傷跡を抉るような行為ではあるが、もうそんなことはエースにとってどうでもよかった。

「この命が救われたものだってことは十分分かってる。けど、これ以上臆病になって、そのせいで大切な何かを失うことはもうしたくないし、しちゃいけない」

 エースが見たいのは、自分の持っているものを何一つ失うことなく迎えた、素敵な未来。そのためには、今も戦っているミストも、最初に追いかけてボロボロになったセレシアも、傷の治療で限界を迎えたフローラも、失ってはいけない。

 何か1つ失った瞬間に、エースにとってのこの世界の価値が欠落していくのだから。

「頼む。大切なもの全部を守るために、行かせてくれ」

 真剣な目と言葉で、セレシアに訴えかけるエース。言葉には、夢の中で語った思いが凝縮されていた。

 両者の視線は数秒間ぶつかりあったままだったが、やがてセレシアが視線を逸らすと、ため息を吐いた後にこう言った。

「そこまで言うんだったら、行けばいい。行って、全部終わらせてくればいい」

「プラントリナさん……」

「でもその代わり、絶対に帰って来て。フローラのために生きて帰って来て。もし死んだら、あの世で震えて待ってなさい。恨みつらみをずっと聞かせてやるわ」

「それは勘弁」

 やや軽めの口調で、セレシアの重い言葉を受け止める。平謝りしてもしきれないような大きな恩を買わされた気がしたが、やむを得ないだろう。それだけのことを、セレシアに対してもしてもらったのだから。

「フローラも何か言いたいことはある?」

「ない……って言いたかったんだけど、1つだけ出来ちゃった」

 むしろセレシアの問いかけに答えたフローラのそ
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