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戦国異伝供書
第二十六話 検地と刀狩りその十一

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「だからな」
「利休殿に教えて頂き」
「そこから学ばれますな」
「そうされますな」
「そうする」
 これが幸村の返事だった。
「まずはな」
「はい、それでは」
「我等はこれより発ちます」
「吉報をお待ち下さい」
 十勇士達はこう言ってそのうえでだった。
 姿を消した、彼等がいなくなると幸村はとりあえずだった。
 寝た、そして次の日朝から茶器を見て腕を組んで考えていたが。
 そこでだ、思わぬ客が来た。
「前田慶次殿がか」
「はい、今です」
 家臣の一人が幸村に答えた。
「屋敷に来られました」
「はて」
 そのことを聞いてだ、幸村は怪訝な顔になった。
「呼んだ覚えはないが」
「風狂な方と聞いております」
「だからか」
「よく突拍子もないことをされる方の様なので」
「今日いきなりか」
「来られることもです」
 それもというのだ。
「あるかと」
「そういうことか」
「そうかも知れませぬ、それで」
「折角来られたのだ」
 それならとだ、幸村は家臣に答えた。
「会おう」
「そうされますか」
「そういえば前田慶次殿は茶の道もご存知であったな」
「傾奇者でありますが」
「実は学もおありでな」
 政には興味がないだけでだ、それでだ。
「それでじゃな」
「茶の道も嗜まれておるとか」
 ただし茶会は開けない、信長は自身以外には自らが許した重臣達にしかそれを許してはいないのだ。
「その様です」
「丁度今悩んでいたところ」
 その茶のことでだ。
「それならばな」
「僥倖ですな」
「そう思う、ではな」
「会われてですな」
「茶のことをお聞きしよう」
「それでは」
 家臣も応えた、こうしてだった。
 幸村は慶次を家に入れて彼と会うことにした、彼は家臣が連れてきた慶次と会ったが慶次は彼に笑って言った。
「ふと気が向いてです」
「それでなのですか」
「都からこの岐阜に戻ったところ」
 その時にというのだ。
「真田殿のお屋敷にはお邪魔したことがない」
「そうでしたな」
「そのことを思い出しましたので」
 それでというのだ。
「お邪魔しましたが」
「そうしたことですか」
「はい、それでなのですが」
 慶次は自分と向かい合って座る幸村の顔を見て言った。
「どうも悩んでおられますな」
「はい、実は殿から茶器を授かりました」
 幸村は慶次にこのことから話した。
「これからは拙者も茶道をせよと」
「おお、それはよいことですな」
 幸村のその言葉を聞いてだ、慶次は顔をぱっと明るくさせて応えた。これまでも明るい顔であったが余計にそうなった。
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