暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第26話 俺の答え、私の答え
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ような、賭けの要素も持ち合わせる。

 けれども、今迷えば、戸惑えば、可能性はどんどんと消えていく。

「……っ!!」

 すべての迷いを振り切って、フローラは目覚めないエースの傍らまで近づいていった。

 そして、易々と流れゆく血に乗った命の奔流をエースの中に繋ぎ止めるべく、両手を重ねてエースに魔法の力を注いでいく。

 しかし、青い光はとても弱々しかった。まるでフローラが必死でしていることを嘲笑うかのような弱々しさだった。


 それでも、そうなっている理由――魔力の不足がきっちりと分かるほどに思考の回復しているフローラにその程度の壁ならば無意味に出来た。

 だがその壁を超えた先で、現実が次の壁として待ち受けていることを予想することは流石に出来なかった。

 魔力を送るために手をつなぎ合わせたフローラの手に、何かが流れ出していく感覚が一切なかったのだ。このままでは助けられないという焦りに、現実が拍車をかけていく。

 どうにかしなければと必死に脳みそを働かせるフローラ。彼女の思考回路は過去に噂話でしか聞いたことのなかった、魔力譲渡の方法にたどり着き、それを知識を詰め込んだ棚から引っ張り出す。

 その末に分かった魔力譲渡の情報に触れた瞬間に、救助のハードルは一気に上がった。

 何故ならば、思い出したその方法が口移しだったからだ。これまでに異性とのキスなど一度も経験したことのないフローラにとって、緊急事態であっても意識しないはずがない。

 急に込み上げて来た気恥ずかしさすらも、彼女の幸せを阻んでくるようになる。場違いな頬の火照りが、フローラの動悸を早める。心臓の音で、必要以上に焦りが早まっていく。

 そんな自分を制御すべく、だけど、それでも、と否定気味の接続詞と共に、エースへの告白を決めた時の勇気を思い出す。そうやって邪魔な感情をすべて押さえつけ、自分のやるべきことを強引に思い出す。

 そうして、込み上げる恥ずかしさも、悪い未来の可能性を示す不安もどうにかやりこめたフローラは髪を耳にかけて、そっと唇を重ね合わせた。2人を繋ぐ唇同士から魔力が流れ込み、エースの身体に魔力が注がれていく。

「んっ……」

 襲い始める脱力感に負けないように、しかし魔力の供給を止めないように、必死に頑張るフローラ。

 魔力の譲渡というのは口移しへの感情との戦いももちろんのこと、脱力感との戦いもある。少しでも気を抜けば倒れてしまいそうなこの状況で自分を支えているのは、目の前で自分を守り倒れたエースの存在。

 先ほどの逡巡など気にならない程、フローラは一生懸命に魔力を注いでいた。

「ぷは……」

 ある程度注ぎ終わった感覚があったのか、フローラは唇をエースから離した。いつもならまごつい
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