暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第26話 俺の答え、私の答え
[4/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
する人への強い想い。エース自身が出した答えだった。
それを聞いたフローラが、満足そうな笑みでフフッと微笑んだ。
「そうやって自分のためにって言えるなら、この世界はもうなくても大丈夫だね」
フローラのその言葉が合図だったのか、夢の世界が、エースのいる場所を残して溶けだしていた。どうやら、この世界の終わりが近いらしい。
だが、隙間から見えるのは、何も見えない黒ではなく、何もない白の世界。何色にも染められる、真っ白な世界だった。
「夢に浸る時間はそろそろ終わり。あとは自分を信じて頑張ろう、エース・フォンバレンくん」
そんな終わりゆく夢の世界で、完全に世界が溶けきる直前まで残っていたフローラが、そう言って微かに微笑んだ。その顔を見て、エースも自然と笑顔になれた。
直後、突然のフローラのキスがエースの口を塞いだ。流れ込む熱い感覚の後、目の前のフローラと共に世界は完全に消えてなくなった。
選んだのは、苦労の絶えない現実。それはエース自身が、望んだ未来を掴むための、現実への帰還を選んだことを意味する。
「俺は君を、助けに行くよ」
けれどもエースは、もう迷わない。一度もなかったわがままを、これから始めるのだ。
* * * * * * *
夢の中でエースがフローラと相対していたその頃、現実世界でのフローラは、戦場となった後の森の中で呆然としたままだった。
目の前で血を吐きながら倒れていくエースの姿が、頭から離れていかない。それどころか、脳内で繰り返し再生されている。信じたくないその光景は自らの行いが呼び起こしたものだと、忘れてはいけないかのように留まり続ける。
何故、あの時エースは自らが飛び込んだのか。フローラには全く分からなかった。エースは氷属性の使い手であり、障壁を生成することでも防げたはず。そうすれば、このような姿になることはなかった。
なのにどうしてエースは、その選択を取らなかったのか。それを聞きたい。聞いてその理由にあれこれ言いたい。
それを可能にするためには、彼を助けなくてはならない。このままでは、その答えを聞くための、「なんで」も「どうして」を面と向かって言えなくなる。二度と聞けない疑問になる。
今のフローラの心は、終わっていくかもしれないエースの命を繋ぎ止めたいという思いでいっぱいだった。そのためにはどうすればいいのか、必死に考えて……
考えついたのは、1番シンプルな方法??自分が治療を施すことだった。
ただ、シンプルとはいえ治療が必ず成功するかどうかは分からない。相手は瀕死で、自分の魔力もそんなに残っていない状況でのそれは失敗する確率の方が高いとも思えてくる
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ