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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第25話 胡蝶の夢、その続き
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もが否定的なイメージを持ち、エース自身も否定してきた夢の中の世界。そこにいるエース・フォンバレンが自分であるとしたら、これまで抱えていたモヤモヤも納得がいく。

 自分を否定されていい気分になる人などいないだろう。いたとしても、少なくとも自分はいい思いはしない。

 この考えにたどり着いた時、エースは1つの疑問を抱いた。


 自分は何のために、あの世界を否定し続けたのか? どうしてあの世界を否定する必要があったのか?

 いつの間にか会話の途中に物思いにふけっていき、その他のことが全く感じられなくなるほどに自分の世界に閉じこもり……

「フォンバレンくん、どうしたの? そんなに険しい顔して」

「え? ああ、ごめん。少し考え事してた」

 いつの間にか、エースは思考の海に沈んでいた。フローラに指摘されなければずっとそのままだったのではないか、と思えるほどに思考の海は深かった。

 こればかりは、フローラに聞いたところで分からないだろう。自分に対しての何故は、自問自答でしか答えの出せないものだからだ。

 ならば、この疑問を言う必要はない。代わりに、この結論に導いてくれた彼女に対する感謝の念を言葉にすることにした。

「スプリンコートさん、話を聞いてくれてありがとう。色々と分かった気がする」

「最後何か悩んでたみたいだけど……お役に立てたのならよかった」

 嘘のようにも聞こえるが、彼女のおかげで答えにたどり着けたことを考えると、エースの言葉自体は間違いではない。フローラのおかげでモヤモヤは晴れたし、新たな疑問にもたどり着けた。

 その新たな疑問は置いておくことにして、エースは口を開いた。

「じゃあ今度はそっちの番だな。俺に何を話したかったのか……聞かせてよ」

 その言葉の方が、1つ前よりも大きな嘘を含んでいた。

 全く知らない体で聞いている風に装っているが、エースは似たような経験を以前にしていたのだ。

 といっても夢の中でなのだが、これは夢の中の自分が夢の中のフローラに告白された時の雰囲気によく似ていた。

 そしてその予想が当たることが、なんとなく怖かった。朝、靴箱の手紙を見た時にも、この時間が来ることに対して怯えていたような気がしている。ここに来るまでの足取りも重かった。

「えっとね……」

 そう言って黙り込むフローラ。想像からはあまり外れていなかったようだった。この場にいることが、何故か苦痛に感じられた。

 それでも、逃げの選択肢はない。彼女が何を言いたいのかは、留まることでしか聞けないのだから。


「驚かないで聞いてください」

 その瞬間は、すぐに訪れた。

「私は……フォンバレンくんのことが好きです」

 エースに対して告
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