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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第25話 胡蝶の夢、その続き
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ためらいなしに、聞きたかったことを口にした。

「じゃあ……もしも、スプリンコートさんのような双子の人たちが迫害されるような世の中で、一緒に暮らしたくても暮らせなかったらどんなことを考えたり、思ったりする?」

 エースの質問を聞いて、最初は理解出来ないという風な感じでいたフローラ。

 だが、やっぱりそうだよな、とエースが思っている最中に、その感じが変わっていた。

「もしかして、前に話してくれた夢の話と関係あったりする?」

「夢?」

 一瞬フローラのいう『夢』というワードに首を傾げてから、すぐに自己解決した。おそらくは、エースが見た夢のことだろう。夢の中では、自分も双子だったからだ。

「うん。前から時折不思議な夢を見る、って言ってたから。その夢の中の世界がそんな世界だよ、って話をしてくれたこともあったし、そのことに関連するのかな、って」

「あーまぁ関連するっちゃする。でも個人的な興味も混じってる」

 それは、嘘が混じった本当の理由だった。どのくらいの割合かと言えば、嘘は1パーセント……つまり九割九分は本当なのでほぼ本当の理由だ。

 本当なら今朝まで嘘偽りのない理由だったはずだった。それが変わったのは、今朝の出来事があったからだ。

「うーん……そういう世界に縛られちゃうのは、やっぱり悲しいかな。いつ死別するか分からないような世界だし、私は家族と同じ屋根の下で暮らしたいって思うから」

 そんなことは一切に口にせずに答えを待っていたエースは、フローラの答えを聞いて昨日の夕方から抱えていた心の中のモヤモヤが一瞬で晴れた気がしていた。

「やっぱそうなるよな。ホント、あれが夢でよかった。現実だったとしたらたまったもんじゃない。胡蝶の夢なんて故事成語あるけど、これなら一発で分かるな」

 覚えたての単語を自慢げに使うという小学生レベルのことを、エースは今していた。しかし、そんなことが気にならないくらい、何故か気分がよかった──

──否、気分がよいように取り繕っていただけだった。

 それが分かったのは、この後のフローラの言葉を聞いたからだった。

「フォンバレンくん、胡蝶の夢ってね、一般的にはどっちが現実でどっちが夢か分からない、なんて話で終わるんだけど……実はその続きがあることって知ってた?」

「え、そうなのか?」

 知らなかった胡蝶の夢の話の続き。興味を惹かれ、エースは反射的に聞き返した。

「うん。続きはね、どっちが夢でどっちが現実かっていうのはどうでもよくて、どっちもそれが自分であることに変わりはない、っていう、人の本質にかかわるお話なの」

「へぇ……そうなのか」

 フローラの言葉を聞いて、エースは夢の中身を思い出していた。

 さっきまで誰
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